【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第78章 二人の夜
朝起きるとこんなことがよくザラにある。目の前は肌色で…自分が何してたかなんて覚えてない…なんてよくある話だ。
「ん…」
身動ぎをしたがまだ眠いのだろう、腕に少し力を入れられてそのまままた寝息が聞こえた。
『いい大人が可愛さを出すなんて…』
ずるい…
あの戦いの時、本当は死ぬはずだった。だから、クザンに伝言を頼んだ。会えないと思ったから…
伝わってない…と聞いたとき、自分の愚かさに気がついた。そりゃそうだ。仕事もまともにしなかった人が、会いに行ってわざわざ伝言なんて頼むわけない。
『…馬鹿だったよね。』
この寝顔を見れただけでも生き返った甲斐があるってもんだと思う。強いて言えば、不死鳥の姿でも良かった。
「そんなにみられると穴が開くよい」
ドキッと肩が大きく跳ねた。
『お、起きてたの!?』
「ふわぁ…今な。何かしてたのかい?」
ニヤニヤとこちらを見る笑みは余裕な大人の顔。くそ、こっちも仕掛けてやる。
『マルコの顔を見てた…かっこいいな…って』
にっこり笑っていうと、2度目のあくびの顔で固まっていた。
『マルコ?』
「…ここは俺の部屋だってわかってるかい?」
ドサッと起こした体を押されてベッドに戻る。
「そんなことを言われたら…朝から食っちまうよい?」
『……そうね。』
「アン…おれは…お前を「おーい、マルコ!!!」」
バンッと大きく扉が開いて、そこにいたのは赤面をしたエースと後ろで頭に手を置き“やっちまったー”って顔をしてるサッチ。
「おま、お前ら…そういう…」
「うるせェよい。足がもつれただけだよい」
『クス…そうね、もつれただけよ。』
「アン!!マルコみたいなおっさんに騙されんなよ!?」
『はいはい。おはよ、エース、それにサッチ』
「おはよ!」
「あー、おはよ…アンちゃん、それにマルコ…」
サッチとマルコは二人で何かを話していたようで、エースは“さっさと上見に行こうぜ!”なんて楽しそうに話している。
『わかったから!今日はご飯の前に観に行こうね』
「おう!!」
エースに手を引かれて“じゃあ、行ってくる”と声をかけると手をひらひらと振り返された。
「なぁ…マルコのこと…」
『ん?』
もうすぐ海面が見えるという時にエースはそう話出してやめた。
『なに?』
「いや、何にもねェ!!」