【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第76章 再会の宴
『いやいやいや、まだいいから!!』
「グララララ!!男はこの船にもいるんだぜ。孫の前に婿でも連れてこい!!」
親父様はさっきの暗い雰囲気なんか吹き飛ばす笑い声を上げていた。
「親父〜、食いたいもんあるかー?」
部屋に入ってきたのはサッチだった。バインダーを片手に宴の準備でもしていたんだろう。
『あ。じゃあ…サッチ、あーんして?』
「アン、おま…ッ!?」
「なに、なんかくれんの?あーん」
サッチが口を開けた瞬間に悪魔の実を口に放り込んだ。
「ングッ!?!」
「あッ!?絶対飲み込むなよいッ?!」
飲み込むなと言われても、口の中にその不味いものを溜めたくなんて普通はできないだろう?
『サッチ…ねぇ、飲んで?』
そう耳元で呟くと、驚いたのかゴクンという咀嚼音が響いた。
「ゲホッゲホッ…!アンちゃ、ん?!」
「…」
『よし!作戦勝ち!!』
「なにを…ゲホッ…不味」
「グララララッ!!こりゃいい!」
サッチにはまだ自覚がないようで、戸惑っていた。
「アン…そりゃやりすぎだよい?」
『ごめんね、サッチ?許してくれる?』
上目遣いでサッチに謝ると、“全然許す!”といつものようにニコニコしてくれた。ニヤリと笑ってマルコを見ると、呆れた顔をしていた。
「で、俺になにしたわけ?」
「グララララ…どんなのかも見ないで食ってたからなァ」
「お前、海には入んなよい」
「は?」
「これからは、水には気を付けろ?」
「…ちょっと、まって…まさか…」
『許してくれるもんね、サッチお兄ちゃん!』
「うぇぇえ!?!? 俺、悪魔の実食べたの!?嘘でしょ!?」
『それがまた、冗談だったらよかったんだけど…。』
ニコニコ笑っている親父様とは別にサッチの顔はだんだん青ざめていった。ちょっとかわいそうなことしたかな…。
「つまるところ、俺は今度から風呂でアハーンなとこをしたり、プールや海でウフーンなことができないってわけ!?」
「お前は海で沈めばいいよい」
『私もそう思う。』
「え、でも、能力者とか強くなれんじゃね!?俺かっこいい!?」
『あー、うー、あんまり実用性はないかな〜』
本人はすごく喜んでいるようで、“何の実なんだ!?”なんでいって喜びを隠せないようだ。
『…トキトキの実…だと思う。』
「なんだ、だと思うって…トキトキって鳥か?」