【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第76章 再会の宴
ゆっくりと海流に乗っていく。
「出来たようだな」
『ん。なに?』
「この実を俺が持って行ったらおかしいだろ?」
イゾウは私の腕を掴んで、親父様の部屋に引っ張って行った。
『うー…』
「俺も面倒ごとは避けたい所なんだがね…なんでさっき出さなかったんだ」
『マルコあたりからの反感が強そうだったから。』
「わかってんなら、自分で持ってきな。親父、入るぜ」
返事を聞かずに扉を開けると、そこにはタイミングが悪いのかまたマルコが立っていた。
『なぜ…このタイミング…』
「なんか用かよい?」
「次はなんだァ?」
「これについて、アンが話があるようだからね、連れてきた。じゃ、頑張りなよ」
イゾウは悪魔の実をポンと手の上に置くと、私を部屋の中に無理やり入れて扉を閉めた。
「今度はなにしたんだよい」
『別に何かしたわけでは…これ…親父様に。』
前を振り向くと、酒を飲んでいた親父様の手が止まった。
「なんだそりゃァ、アン」
「なんでおまえはこう問題ばかりを持ってくるんだよい」
『たまたま…見つけたから…親父様に…』
尻すぼみになっていく話に、親父様は頭に大きな手を置いた。
「グララ…おまえは…」
『…親父様に役に立つと思ったの。』
「ったく…何の実だよい」
『…多分トキトキの実…だと思う。ドフィのところにいた時に悪魔の実図鑑を見た感じ…』
「トキトキ…か」
親父様は何か思うように見つめていた。
「お前はなにを思ってこれを親父に持ってきた。」
『…能力自体が気になって…親父様にも能力者になって欲しいけど…もう年だって言うなら…誰かに食べさせて歳を戻せばいい…と思った。』
「グララ…お前は親思いなやつだな…」
親父様には長く生きて欲しい。だから、この実はサボには渡さなかった。自分の能力で何とか体を操ることもできるだろうと思ったから。
「俺ァ…もう能力者にはならない…」
『でも!』
「アン…能力者は確かに強いが…別になくてもお前らがいればそれでいい…グララララ!」
親父様は能力者になるのを拒否した。唇を噛んだ。悔しい…寿命に負けてしまうのが…親父様を失うのが怖い…
「グララ、俺がいなくても、エースやマルコがいるだろォ?俺としては悪魔の実じゃなくて早く孫が見たいぜ?なァ、マルコ」
「親父ッ!!」
『…孫?』
それは私が産むのか?