【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第71章 本当の記憶
目をゆっくり開けると、ベッドの横にはベビーが座っていた。すっきりした頭にやっとここが、あのドフラミンゴの城であることを理解した。
『ベビー…』
「…ん、え、あっ!起きたのねッ!!」
『うん、ベビーもおかえり。』
にっこりと笑うと安心したのかベビーも笑ってくれた。
「昨日、帰ってきたときに熱で倒れたことを聞いたのよ。覚えてる?」
そうか…エースとかが記憶を刺激してくれたのか…。
『ん、なんとなく…ドフィも帰ってきてるの?』
「えェ…でも今は取引に行ってるわ。」
『そうなんだ。』
起き上がろうと体を起こすとガチャリと足首が重たかった。どうやら体が重いのはこの海楼石の錠のせいでもあるようだ。
『…どういうこと…』
「それは…」
ベビーは言い澱んでしまって、私から目線を外した。
「べへへ〜、それは俺が答えるよ〜!お前が記憶を取り戻したらまずすることは家族のもとに帰るでしょ〜。だから、先手を打たせてもらったってわけだよ〜んねェ〜ショック??ショック??」
鼻水を撒き散らかしながら来るトレーボルにイラッとした。
『そう…そういうこと。これで逃さないためってこと。』
「そうだ。今、このドレスローザは荒れている。コロシアムではあの麦わらのルフィと火拳のエースが優勝商品を狙って参加していると言われてる。」
『ピーカ…』
「そして、他麦わらの一味は各隊に分かれてこの国に混乱を招こうとしている。俺たちはそれを阻止しなければならない。」
「べへへ、仮に何かあったとしてもお前は、麦わらの義理の姉なんだよね〜、人質だね〜んね〜、ショック?」
『…あっそ。ここの国の事情は興味ない。私はまだ…ここから逃げる気はない。出て行って』
そういうと、ベビーもピーカ、トレーボルも外に出て行った。
なんで忘れてしまったんだろう。あんなに一生懸命守った人たちを…あんなに愛した人たちを…。
記憶を取り戻した今は能力の使い方も、弱点もわかる。でも…きっとまだ動くときじゃない。彼らは何かを仕掛けてくるはずなんだ…。
そう思って、1番初めにあった青いシルクハットの兄を思い出した。
『にしても…兄妹がみんな揃うなんて、優勝商品はなんなんだろう。』
「フフフフ、思い出したのかァ?アンちゃん」
ゆったりと窓に背中を預けて座っているピンクのコートを着た大男。
『久しぶりね…ドフィ』