【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
『ッあ…ぅ…』
“親父”と慕う彼らに懐かしさを覚えた。
サッチ、ハルタ、イゾウ…エース、マルコ…
パチリパチリとはまっていくピース…
『ッあ、あぁ…ッ』
夢の中で話していた男女も知らない人じゃなかった。今目の前にいるのも…私は知ってる…
「お、おい、アンッ!?」
「大丈夫かよい!?」
『ッハア、ハァ…うぅ』
きっと気配が乱れたのが分かったんだろう。こちらに近づいてくる気配が2つ。
『逃げて…来ちゃうッ!』
「でも!!」
『いいからッ!!』
「エース、いくよいッ!!」
「俺たちは必ずお前を連れて帰るッ!!戻ってこい、アンッ!」
彼らが夜の闇に消えたのと同時にディアマンテが扉を開けて飛び込んできた。
『ハァ…ハァ…っあぁ…』
「アン…大丈夫か?」
『…ッお、やじ…さま』
私はプツリと途切れるように気を失った。
Side.Diamante
ドフィの変わりに仕事をしていたら急に乱れ始めたアンの気配に焦りを感じた。部屋まで駆けつけると、窓が大きく開かれており、アンは下で蹲っている。
『ハァ…ハァ…っあぁ…』
荒い息遣いで痛みに耐えるような表情…これがベビー5 が言っていた発作ってやつか。
「アン…大丈夫か?」
ゆっくり落ち着かせるように声をかけると、一度はこちらを向いた。
『…ッお、やじ…さま』
そのか細い声で呟いたのはあの白ひげの愛称…
パタリと倒れてしまったアンをベットに運び、足かせをつけさせてもらった。これは海楼石を使用していて、ベッドにつけることを提案したのもドフィ…。
ーいいか、記憶が戻るようなことがあれば何としてでも繋げ。あいつの力は俺たちを王者の道へ進めてくれる。
「繋いだところで…こりゃダメなんじゃないのか?ドフィ…」
未だ荒い息を繰り返す彼女は海楼石の錠をつけたことによりさらに苦しそうだ。すぐに使用人を呼び出してアンの世話と医者を呼ぶように伝えた。
医者の話によると拒絶反応と膨大な記憶の処理が追いつかないことでの発熱をしていると言っていた。
「こんな忙しい時に手のかかる小娘だぜ。」
海楼石の錠があれば何にも起きないだろうとたかを括り、付きっきりで看病をするように伝えると俺はすぐにドフィに連絡をした。