【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
朝起きると、すぐにベビーとバッファローがやってきて何度も謝ってきた。
「ごめんなさい、私たちの不注意で!」
「ごめんだすやん」
『全然気にしてないよ〜。』
「今度からは色男でも拐われないように気をつけるわ!!」
「俺もしっかり見張るだすやん!」
『…あはは』
少し過保護がすぎるんじゃないかな…なんて思った。ベビーたちはすぐにドフィからの任務があるとのことで出ていってしまった。
「フフフフ、どうだ?調子は」
『ん、まぁ上々』
「記憶はどうだ?」
『まだ何も。』
「そうか…俺ァこれから忙しくなる。城を開けることも多いからな、何かあればディアマンテかトレーボルに言えよ?」
『ん。ドフィもどこかに?』
「まァな、俺に喧嘩を売ってきた奴らがいるからな。対処しに行かないとな。」
『そうなんだ。ねぇ、一つだけ聞いてもいい?』
「あァ…答えられるものならな?」
ドフィはニヤニヤとした笑みで窓枠に座っていた。
『私に情報が来ないのはどうして?』
「…フッフッフッ、気付いてたのか?」
『…そうね。最初は新聞が一個も回ってこないことからかな。そこから、ドフィは何か隠してると思った。』
「ふーん、で?」
ドフィはまだニヤニヤとしており、だんだんと近づいてきていた。
『昨日の彼が言ったの。お前は白ひげにいただろう?って…兄貴ポートガス・D・エースも忘れたのかって。あなたが隠してたのは彼らの名前…違う?』
「あァ…当たりだ。さすがだなァ、アンちゃん。本当に記憶が戻ってないのか怪しいぐらいだぜ?」
『…そうね。早く戻さないとって思ってるんだけど。』
「…戻らなくてもいいだろ?このまま俺に落ちちまえばいい。」
『何を…んッ、やッ…め、あ』
ドフィは距離を一気に詰めて、噛みつくようなキスをしてきた。
『なんで…』
「俺は前から言ってる…お前が記憶を失う前から…アンちゃんが欲しい。ってな…記憶が戻るまではって思ってたけど、戻りかけてんだろ?なら話は別だ。」
ドサッと背中がベットについた。
「このまま抱かれちまうってのはどうだ?」
『…私の愛する人はあなたじゃない。それだけは確かよ』
凛とした声で言うと、タイミングよく電伝虫が鳴った。
「時間切れだ…」
『そうみたいね…』
電話を受けるなり、ドフィは青筋を浮かべて飛んでいった。
『何か…あったのかな』