【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
記憶の断片が宙を待っていた。目に入る景色は水に移る自分のように…当たり前の姿を映し出していた。
そこは大きな船で…あのとき見ていた白い鯨の船。そこには大きな船長がいて、16人の隊長たちがいて、沢山のクルーが乗っていた。みんなは楽しそうに笑っていた。
ー何してるんだァ?グララララッ!!
ーこっちこいよ!アンちゃん!
ー早く来ねェとお前の分も食っちまうぞ?
ーエースは食べ過ぎなんだよ!早く来なよ!アン!
ーお前さんはなんでそんなところで突っ立てんだ?
前に進もうとしても進めない…足が動かない。呼んでくれているのに進めないんだ。
ー早く戻ってこいよい、アン。
にっこりと笑う笑顔に涙がこぼれそうになった。
ちゃんと戻るから…行くから…もう少し待って…
『…ッ!!!』
バッと目を開けて外を見ると、そこにはゆらゆらと揺らめく大きな青い鳥がこちらに向かってきているようだった。
『…夢で見た鳥みたい』
ふと目を離した隙にはもういなくなっていて、夢でもみてたのかな…と目を再び閉じた。
Side.Marco
親父に言われてすぐに準備をして、飛んだことにはいいが…よく考えるとこいつは今能力を失っていた。“というわけで、乗せてくれな!!”と言っていたのは記憶に新しい。少し距離があるせいで着くのは遅れたがもうすぐ朝日が登るだろうという頃にドレスローザへついた。
「ぐー…ぐー…がー…」
「呑気なもんだねい。」
真っ直ぐ見えるドレスローザの城に近づく前に、城下町にそっと降り立った。俺はだがよい?
ドンッと大きな音がして落ちたエースはようやく目が覚めたようだ。
「な、なんだ!?」
「着いたよい。とりあえず朝までここで待つ。今日の夜はここで宿を取るよい」
「おんなじ部屋とかやめろよ?」
「双子でも男はごめんだよい」
「お前なー、俺は兄貴だぞ?そういう事情は言うなよ。」
「なんだい、照れてんのかい?餓鬼じゃあるまいし。」
「うっせェ!!」
エースと2人、日が出るまでは待機した。隣で寝てるこいつは…まぁ、置いといていいだろう。
日が出てすぐに、俺たちは街で情報の聞き取りを起こなった。そして革命軍の小僧とも連絡を取り合った。
「サボが言うには、ドフラミンゴの城にいるって言ってんぜ?」
「なら、今夜あたりにでも忍び込むかねい」