【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
Side.Doflamingo
ベビーから電話が入ったときは正直焦ったぜ。
「あ?なんだと?」
[アンが見知らぬ男性と駆け落ちをッ!!]
[違うだす!!拐われただすやん!!]
[そうとも言うわねッ、若様!!ごめんなさい]
「はァ〜、分かった。すぐに行く」
ったく、麦わらにローの裏切り、シーザーの誘拐…考えなきゃならねェことはつきねェ。どうなってやがる。
窓を開けるとバサッと揺れるカーテン…雲に糸をつけて空を舞う。どこにいやがんだ?
ドレスローザを見て回ると急に上がった水の壁。どう見ても拒否してる姿勢を示しているアンちゃん。
「思いだせよッ!!」
『うぁ…ッ…や!』
「おいおい…やめてやれ。無理に思い出させんなよ。」
ゆっくりと、アンちゃんの水の壁の海側へ入ると相手の姿を確認した。
「なんでこんなところに革命軍がいやがんだ?」
「アンが見つかったって情報が来たもんでね、兄貴として、アンを愛する1人の男して確認しに来たんだッ!」
あ?情報はしっかり管理してるはずだがな…どこから漏れた?
頭を捻って考えていると、アンちゃんが服の裾を引っ張るように話しかけてきた。
『ドフィ…ッ』
「大丈夫か?」
『…頭、割れそう…帰りたいッ』
それだけ発すると倒れるように俺にしがみついた。いいなァ…その憎しみに満ちたその目…。
「フッフッフッ…辛かろう?愛したはずの女が他の手に落ちるなんて…俺は今、忙しいからな。だが、島を出るときは気を付けろよ?」
俺を終始、殺気を纏って睨み付けていたあいつは革命軍参謀総長だったか?
「また、考えることが増えたなァ…」
俺に抱かれてゆっくり眠っているアンちゃんは時々苦しそうな顔を浮かべていた。
「フフフ…思い出せるかわ、お前次第だ。」
ゆっくりと部屋のベッドに寝かしてやると、追いついたベビーとバッファローが部屋にドタバタ入ってきやがった。
「ごめんなさい、若様、少し目を離したばっかりに」
「すまねェだすやん」
「フフフフフ、俺は気にしちゃいねェ…これで昔のアンちゃんに戻るかもしれねェからなァ!」
「でも、戻ったら奴らのところに…」
「あァ…そうかもしれねェし、そうじゃねェかもしれねェ。どっちに転ぶかはこいつ次第だ。」
ゆっくりと頭を撫でた。