【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
Side.Sabo
アンを苦しめている自覚はあった。でも、これぐらいしないと記憶は覚醒しない。俺とアンの間に作られた水の壁。それは前と同じ能力だった。
「思いだせよッ!!」
『うぁ…や…ッ!!』
「おいおい…やめてやれ。無理に思い出させんなよ。」
上から颯爽と洗われたのはドンキホーテ・ドフラミンゴ。噂通りかなり派手な見た目をしている。
「なんでこんなところに革命軍がいやがんだ?」
「アンが見つかったって情報が来たもんでね、兄貴として、アンを愛する1人の男して確認しに来たんだッ!」
本当の理由なんか言えるわけがない。こいつはこの国の悪の巣窟なんだからな。
『ドフィ…ッ』
「大丈夫か?」
『…頭、割れそう…帰りたいッ』
そう言ってアンはドフラミンゴに抱きついていた。
「フッフッフッ…辛かろう?愛したはずの女が他の手に落ちるなんて…俺は今、忙しいからな。だが、島を出るときは気を付けろよ?」
それだけ言うとドフラミンゴはアンを抱えて城へ帰っていった。
「くそッ!!」
いいように記憶操作でもされてんのか…アンが記憶がないのはわかった。だが…ドフラミンゴのことをあんなに嫌悪してたのに。
「とりあえず…エースに。」
俺は子電伝虫を取り出して、エースに連絡を取った。
[お、サボか?どうした?あ、まさか俺の懸賞金が上がったことに対する祝いの言葉か?そんなのいいって!]
「エース…」
[…なんかあったのか。]
「落ち着いて聞いてくれ。俺は今、任務でドレスローザに来ている。そこで…」
[なんだ?]
「アンは生きている」
[何…言ってんだよ…冗談なら笑えねェぞ…]
「ほんとなんだッ!俺は目の前でアンと話したんだッ!!あいつは記憶をなくしてて、ドフラミンゴのファミリーにされてるッ!!」
ガタンと受話器が落ちた音が聞こえた。
[本当なのか…]
「俺がこんな冗談言うわけないだろ…」
[…そうか、わかった。ありがとな]
エースはそれだけを言うと一方的に電話を切った。
「サボくん!やっと見つけた。」
「アイツはアンだったよ。」
「そう…アンちゃんのこともわかるけど、こっちも先にしてもらわないと…任務に集中して?」
「分かってる」
固唾を飲む思いだった。