【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
急に腕を掴まれて、振り向くとそこにはフードをかぶった見知らぬ男性。
『あの、どちら様ですか?』
「は?」
急に名前を呼ばれた…誰だろう、この人。じろじろとこちらをずっと見てくる彼の目は私のネックレスを捉えた。
『あ、あの…』
「俺のことわからないのか?これ…俺があげたやつだ。ほんとに分からないのか!」
『え…ッいた…』
ネックレス…何を言ってるの…
ー次はこの指に指輪買ってやるからな
ー本気だからな!
「アンだろ!?」
『あ…誰…ッほんとにわからないの。』
頭に流れてくる声、その声とこの男の人が初めて一致した。痛い、頭が割れる…。
「記憶がないのか…」
彼はそう聞いてきた。その目を見てみると、何故か泣きそうになっている。
「サボくんッ!!」
「武器変貌:ブキモルフォーゼ!拳銃脚:レボルベルレッグ」
誰かの呼び声とダダダダッと銃弾の音を聞いた時、私の体は軽々と抱えられていた。
「アンを離しなさいッ!!」
「うるせぇ!!外野は黙ってろ!!アン…ちょっと悪いが来てもらうぞ」
追ってきていたベビーたちから逃げるように、屋根の上を走って行った。
『あ、あの!』
「黙ってろ、じゃないと舌噛むぞ!」
あまりの剣幕で言うもんだから、ぐっと口をつぐんでしまった。しばらく銃が続いていたがしばらくすると静かなところについた。
『あの…』
「俺は革命軍サボ。お前の義理の兄貴だ。」
『え?』
「アン…お前はポートガス・D・アン。双子の兄貴のエースと一緒に白ひげ海賊団に所属していた!」
『エース…ッう』
「この間ッ、白ひげ海賊団と黒ひげとの抗争があってお前は死んだって言われてたんだッ!!親父様って…えー、なんだっけ!あ、そうだ!マルコやサッチのことも呼んでたじゃねェか!!家族だって!!大切なんだって!!」
パキンと内面で何かにヒビの入る音がした。
『…ッいたい…やめて…ッ』
無意識に使ってしまった能力は彼と私の間に入り込んで壁を作った。
「思い出せよ!!アンッ!!」
『あ…あ、うッ』
鮮明に流れる映像…人の顔もはっきりわかる。これが…過去。
「騙されるなッ、お前は白ひげにいただろうッ!!?」
白ひげ…親父様…エース…サッチ…マルコ…サボ…今までバラバラだったものが一気に収束してきた。