【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
Side.Sabo
「もう、なんで来ちゃうのよ。」
「俺の目で見たほうが早いだろッ!美味いッ!」
「そんなことよりも先にハックがコロシアムの方に潜入してるから」
「あァ…ング、わかってる!」
この間、コアラにもらったら連絡“アンらしい人を見た”というかものを自分の手で確かめるためにここに来た。
「さっきから食べてばっかりじゃない!」
「ここの飯は相変わらず美味ェ!!」
並べられているドレスローザの独特料理を堪能しているとあの時のことを思い出す。エースと料理の取り合いになって、白ひげのとこのなんだっけ、あのよいよいの人と、フランスパンにめっちゃ怒られたっけ。
「何ニヤニヤしてるの、気持ち悪い」
「それは言い過ぎだぞ」
「それより、ちゃんと任務に参加してよ」
“分かってる”とそう言葉を紡ごうと思ったその時。
『ねぇ、次はあそこの店に行きましょうよ!!』
聞き馴染んだ声に思わず立ち上がってしまった。
「サボくん?」
コアラの声も聞かずにすぐにその声の主の元へ行った。後ろ姿は髪が短い…でも背格好はちょうどあのくらい。思わず手を伸ばして、腕を掴んでしまった。
「アン…なのかッ!?」
柄にもなく大きな声が出てしまったと後悔した。
『あの、どちら様ですか?』
「は?」
よくよく見てみると、眼の色が違うアンは淡い赤だったにも関わらず、この子は片方ずつ色が違う。だが、首につけられていたネックレスにはすごく見覚えがあった。
『あ、あの…』
「俺のことわからないのか?これ…俺があげたやつだ。ほんとに分からないのか!」
『え…ッいた…』
不意に服から見えた鎖骨…左の鎖骨のところに見えたそのマーク。
「アンだろ!?」
『あ…誰…ッほんとにわからないの。』
急に頭を押さえながら、逃げようとしているアン。俺はこの顔を、この痛みに耐える顔を知ってる。
「記憶がないのか…」
俺と同じ…あの時の俺と…!
「サボくんッ!!」
「武器変貌:ブキモルフォーゼ!拳銃脚:レボルベルレッグ」
ダダダダッと打ち込まれる銃弾をアンをかかえてよけた。
「アンを離しなさいッ!!」
「うるせぇ!!外野は黙ってろ!!アン…ちょっと悪いが来てもらうぞ」
俺はアンを抱き抱え、女から逃げた。