【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第70章 たった2年、されども2年
『見て、ベビー!!』
「え、わッ!!すごいッ!!」
宙に浮かぶいくつかの水の玉。
「アンの能力って水だったのね。」
『そう見たいー、最近あった事件の時も使ったのこれだけだったし。』
手を広げて、使えるようになった水。まだあんまりコツをつかめないから不安定なところはあるが、上出来だろう。
『ドフィに見せても反応なかったわ。なんか雰囲気もピリピリしてたけど何かあったの?』
そうここ2週間…どうも雰囲気がピリピリとしていて誰がどう見ても何かあったのだろうとわかる。
「…いえ、何もなかったわ。」
何も…なかった…ねェ。
2人で庭で遊んでいるのも飽きてきていた。
『ねェ、今日は外に出たいわ。』
「ダメよ、若様に止められてるの。」
『どうして?』
「…アン、今若様は忙しいのよ、あんまり…」
『…何か隠してる?』
ベビーは正直者なのだ。嘘をつくときは絶対に目を合わせない。
『…ふふ、冗談よ。でも、そろそろ買い物に行きたいな。お願いしておいてくれない?』
「わかったわ…聞いてみるわね」
ベビーは少し離れて子電伝虫から連絡をとっていた。
最近おかしいと思うことが出てきた。私に情報を回さないこと。何があっても私以外の人たちで解決する。誰に聞いても答えてもらえない。
『流石に隠そうとしてるのがわかる…』
「アン…私とバッファローが付き添いなら買い物してもいいって言ってくださったわよ」
『わーい!新しい服と靴が欲しかったんだッ!』
にっこりと笑うとベビーは赤くなっていた。バッファローもすぐに来てくれて、そのまま城下町へ降りた。
『あそこ見てもいい?』
「えぇ。あ、ちょっと待ってよ!」
久しぶりの外出に浮かれて腕を大きく振っているとシャランと音が鳴る。音の原因は私の腕についているブレスレット。最近、モネが来て“渡すのを忘れていたらしい” と言っていた。誰がとは聞かなかったが、その時にこの音のなるブレスレットとネックレス、レッグシース付きのダガーをもらった。
もちろん、この品々に関する記憶は全くなく、でもつけてみるとピッタリと馴染む。
『ねェ、次はあそこの店に行きましょうよ!』
大きな声で付いてきていた2人に声をかけると、何故かすぐ後ろから手を掴まれた。
「アン…なのかッ!?」
振り向くとそこには見知らぬ男性。