【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第68章 回復
挨拶もそこそこにパーティが始まった。
「これは若様…とても美しい御令嬢をお連れになれてるんですね」
「あァ、最近のお気に入りだ。」
『こんばんわ、』
色々挨拶をさせられて自己紹介をされるが、いい視線は感じなかった。まるで檻の中をさっと見つめてくるような視線。
理由は一目瞭然…紹介された方々が連れていたのは全員実の娘だった。これは…
『お見合いパーティーね…幹部の集まりという名の』
「べへへ…さすが、アンだね〜。」
「その通り、ドフィはいい男だからな。各界にそれなりの繋がりがある。こんな風にな?」
「それをより強固なつながりにするために縁談を持ってくる奴らが絶えない。」
「私たちとしても、信用できない奴は近くに置けない」
「だから、あなたの出番ザマス」
「その美貌…僕に負けない美しさ。」
「あなたが1人いるだけで女たちの猛烈なアピールはなくなるのよ。」
『それはつまり、利用されてるって事でいいのかしら?』
「「「あァ…」」」
はっきりと言う最高幹部にため息が出た。
「べへへ〜、アン、ショック?ショック?」
『全然。』
「その割には怒ってるように見えるが?」
『怒ってない。』
「ふふふ、ほら、若様があんなに囲まれて来てるわ。行ってきて」
『もう…』
歩くたびカツカツとなるヒール。私はドフィのところに一直線に歩いていった。
「あの子…本当に自分の美貌に気づいてないの?」
「そうみたい」
「キャハハ…鈍感なのね〜」
「ほら、みろよ。歩いてるだけで道ができてくぜ?」
「これが覇者の持つ空気…」
(((この子を若様に…)))
なんて会話をされているなんて気づいてない私はドフィのそばに行くと胸が大きなお姉さんが凄い形相で睨んできた。
「あら、何かご用かしら!?」
『ドフィに触らないでもらえますか?』
そう言ってにっこり笑うとお姉さんは怯えた顔をして私に向かって手を上げた。
「なによッ!!!」
『それ以上、騒がないでもらえますか?ここはパーティ会場なので…』
足につけていたダガーをドフィで隠れた死角から押さえつけると、女は動かなくなった。
『分かってもらえて良かったです。あ、ほらお父様が呼んでますよ?』
そう声をかけると、お姉さんは逃げるように父親のところへ帰っていった。ダガーを直すとドフィがまた腰に手を回してきた。