【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第68章 回復
『とりあえず、隠さないと…』
何でそう思ったのか分からない。自分が食べれるわけでもないのに持ち帰って…ドフィにでもあげればきっと喜ぶのに。
私はドフィが絶対開けない下着の奥に紙袋ごと仕舞い込んだ。
『よし、』
部屋の周りはシンとしていて、きっと幹部はみんな集められているんだろう。窓の外を眺めていると、海に白い大きな鯨の船が見えた。
『すごいー、綺麗な船…。』
遠すぎるので動いているかなんて分からないけど、ずっと見ていられるほど綺麗だった。
『あんな船でどこに行くんだろう。商船なのかな?』
ーモビーっていうんだぜ。
ー2号もお金かかったもんね…
『え?』
頭の中に流れてきた知らないイメージ…。
『ッ痛…』
ーモビーは俺たちとお前の家だよい
ー家族が乗ってる船だからな…守りたいんだろ?
ーおい、船を壊すなッ!!
『…も、びー?…うっ…』
頭を抱えて座り込んでいると、扉がバタンッと開いた。
「アンッ!?!」
『…ッベビー…?』
「どうしたの!?体調でも悪いの!?」
『…ッ頭、痛い…』
「…ッ医者ッ、でもとりあえず横に…」
ベビーに支えられながら立ち上がった時、ふと外を見ると白い鯨の船は無くなっていた。
『モビー…』
「え?何か言った?」
『え、私何か言ってた?もう大丈夫だよ。少し頭痛がしただけなの…ごめんね心配させて。』
「本当に大丈夫?何かあったらすぐに言ってね。ご飯は部屋に運ばせるから、ベッドに横になって…」
『…うん、今日はもう休むことにするね』
「えェ…何かあったら必ずいうのよ?」
ベビーはそう言って部屋を出ていった。
私なんで…“モビー”なんて言ったんだろう。
Side.Doflamingo
「若様ッ!!」
「あ?なんだ、ベビー…何かあったのかァ?」
仕事をしてる時に突然飛び込んできたのは、アンを任せているベビー5だった。その慌てように尋常じゃない何かがあったのかと聞いた。
「アンがさっき頭痛で座り込んでて…起こした時に“モビー”って…」
「なんだと?」
モビーってのは白ひげのところの船の名前だったな。
「何か言ったのか?」
「いえ…でも、外をずっと見てたみたいで…」
あいつら近くに来てやがったのか…だが…。
「いい感じだ…フフフフフ、あの頃に戻るかもなァ」