【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第67章 ファミリー
『ありがとう…でも、明日にするわ。』
「そうか…あんまり無理させんなよ…ベビー。俺ァ仕事に戻るからな」
ポンと頭に手を置いて、部屋に戻っていくドフィに手を振る。
「ごめんなさいね、アン」
『大丈夫よ! いい運動になる!!』
ベビーは少し落ち込んでいたけど、しばらくするといつもように話をしてくれた。
「若様も、アンには甘いわよね〜」
『そう?』
「えェ…見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらい。」
『そうかな〜。』
あんまり意識はしてないが、周りから見ればそう見えるんだろうか。
「そろそろ、お風呂の時間ね。1人で大丈夫?」
『もちろん!もう大丈夫!』
前まではお風呂に入ることもままならなくて、ベビーやモネ、シュガーたちと一緒に入っていた。でも、全員能力者なので長風呂はできなかった。
「じゃ、また明日…庭を散歩しましょう!」
『うん、もちろん!』
バイバイと手を振りながら帰るベビーは本当に可愛い。
自室…と言ってもドフィが与えてくれた部屋に付いている浴室に向かい鏡の前に立つと服の下にはかなりの傷痕が残っていた。自分では何も覚えていない…この傷は一体何があってできたものなんだろうか。
『覚えてない傷痕なんて、気持ち悪い…』
特に大きな傷と言えば、右目の義眼、右腹部にある傷痕で銃槍も斬られた痕もあるが、手当てしてくれた科学者さんのおかげで綺麗に治っていってると医者は言っていた。あと、傷に入るかわからないが…鎖骨にあるこの刺青。彫られた3文字にはなんの意味があるのかな…。
『ASL…火と水……ッい、た』
言葉に出してみた時、ズキッと頭が痛んだ。
『なに、今の…早くお風呂入っちゃおう。』
すぐに引いた頭痛に安心してさっさと入浴した。
『そういえば、私は力が抜けるって事ないな…なんでだろう。』
ふと“右目の義眼にも随分慣れたな”と思った。距離感とか最初掴めなくて、物にぶつかったり…いろいろした。お風呂を上がり慣れた手つきでタオルを取り、体を拭いていく。
『明日はベビーと散歩♪』
服を着て頭を拭きながら外に出ると、前には大きな壁があった。
『おっと…あれ、ドフィ?』
「フッフッフッ、なんだ、風呂上がりか?」
『うん』
「右目にも慣れたみたいだな。」
『不意打ちは対応できないんだけどね。』
「そのうち慣れるさ…」