【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第67章 ファミリー
2週間も経てば、普通の人よりは少しゆっくりにはなるが歩けるくらいに回復していた。
「さすが、能力者ね。回復が早いわ」
『え、能力者なの?』
「あら、知らなかったの?若様から聞いてると思っていたわ」
『…ドフィはあんまり来てくれないから。』
「寂しいの?」
『ううん!!忙しいの知ってるから!でも、最近過去が気になっちゃって…話を聞きたいと思ってるんだけどね。』
「そんなに焦っても何も生まれないわよ。ゆっくり思い出していきましょう?」
『…そうね。ここがファミリーだってことに変わりはないものね。』
「そうよ!あ、これから、少し散歩なんてどうかしら?庭くらいなら若様も許してくださるわ!」
ベビーは思いついたように話して、パッと走っていってしまった。
『あ…』
何とか回復はしているが、走るのはまだできなくて…歩くのが精一杯。
「手伝いましょうか?」
そう言って、城で働いている人たちは声をかけてくれる。
『大丈夫です、ありがとう』
というと“気をつけてくださいね”とみんなが仕事に戻っていく。幹部敷地の廊下にやっとの思いで出ると、トレーボルがこちらに向かって歩いてきていた。
幹部やファミリーとは顔合わせが終わっていて、みんなは笑顔で見知らぬ私を迎え入れてくれた。
「べへへ…アン、どこ行くの?ねェ、ねェ!」
『ベビーを追いかけてるの…ドフィの部屋にいると思うんだけど。』
「そうなの?俺も行こうか?べへへへ」
『ううん、大丈夫。1人で歩く練習してるから!』
「そうか?何かあったら呼ぶんだぞー?」
なんて会話をして、先の長い廊下を歩いていく。
『…疲れた…』
散歩なんて言ってるけど、これもかなりの散歩になっている。
「アンー!!ごめんなさい!!先に1人で突っ走って!!」
“やっとあと少しで着く”と思った時に前から走ってくるベビー…そしてその後ろに頭を抱えながら立っているドフィ。
「ほら、言ったじゃねェか…待ってるわけないだろ?」
「でも、しんどいから…と思って!」
どうやら、私が置いていかれて1人待っていると思っていたようでベビーはドフィに怒られたようだ。
『これもかなりの運動になったから、怒らないであげてね』
「フフフフ、アンちゃんは優しいな。散歩だったか?外はまだ出してやらねェが、庭くらいならかまわねェよ」