【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第66章 失ったモノ
翌朝、大きな窓から差し込む光で目が覚めた。
『ん…』
目を開いてみても見える世界は半分で、まだモネは来ていないようで空気が静かだった。
『…少しくらい歩いても…』
体に力を入れようとはするが、なかなか入らない。
「あら、起きていたのね。だめよ、立ち上がっちゃ。あなた、半年も眠っていたんですから。」
『え…』
半年も?
「筋力だいぶ落ちてるから、無理に動かしたら後が辛いわよ。今日からリハビリを入れるから安心してね。」
“と言っても私は付き合えないのだけれど”と一言言うと、部屋にノック音が響いた。
「どうぞ」
「入るわね。起きてたのは本当だったのね。」
つけていたタバコを消して、入ってきたのはメイドの格好をした誰か。でも、モネに普通に話しているところを見るときっとただのお手伝いさんではないのだろう。
「彼女があなたのお世話係なのよ。ベビー5 よ。」
「好きに呼んでちょうだい。」
「感情の起伏が激しいところがあるけれど、いい子なのよ」
『よろしくお願いします。』
「えェ、任せておいて。」
モネは“じゃあ後はよろしくね”と部屋を出ていった。
「えっと…まずは体を起こすところからスタートね。」
最初はゆっくりと手を引いてもらって身体を起こすと言う動作を何回か繰り返した。
「腹筋とかもだいぶ弱ってるから…無理しなくていいのよ?」
『ッ…大丈夫ッ…』
今まで当たり前に使っているものがこんなに動かないなんて…。
「もどかしい?」
『…ッ』
「でも、ゆっくりよ。無理をしてはなんの意味もないから」
『…うん。』
毎日同じように体を少しずつ動かす…たった少しの作業でもかなりの体力が奪われる。
「アン…今日はこれくらいにしましょう。」
『でも…』
「大丈夫よ。結果はかなり良好だからね。歩けるようになったら2人で買い物に行きましょうね。」
にっこりと笑うベビー5は毎日、嫌とも言わずにお世話してくれる。
『ありがとう』
「いいのよ、私、必要とされてるのがすごく嬉しいから!」
『本当にありがとうね。ベビーがいてくれてよかった。』
「やめてよね、そんなこと…すごく嬉しいから!」
照れながら喜んでいるベビー5は本当に可愛い。歳は24歳だと言っていた。私よりも年上だよね。きっと。
「明日また来るからね。」
『うん!』