【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第66章 失ったモノ
しばらくすると、白い白衣を着た医者が診察をしにやってきた。
「自分の名前は?」
『先ほど、アンだと教えてもらいました』
「歳は?」
次々と聞かれていく質問に答えることができなかった。
「後天性記憶障害ですね。どう言う意図でなったかは分かりませんが、何かしら大きなショックを受けたものと思われます。」
「いつ治るのかしら」
「さぁ…治るかもしれませんし、治らないかもしれませんし。はっきりは言えませんね。長い目で見守ってもらうしか…」
モネさんは医者を返して、ため息をついていた。
「少し疲れたでしょう?眠ってしまいなさい。」
モネさんが触れた手はとても冷たくて、どこか懐かしい温度。
ー俺ってめんどくさがり屋なのよ?
『え…』
「どうかした?」
少し驚いた顔をしているモネさん…。
『いえ、何も…私、寝ますのでお仕事に戻ってください。』
「…気にしないで…あなたが眠ったら行くから。」
『…すみません。』
冷たい手をまた当たられて仕舞えば、そのひんやりと心地いい感触にゆっくりと眠りについた。
Side.Mone
眠らせようとほんの少しだけ手を冷たくして、空気を冷やした。その時に急に目を開けるもんだから、驚いたわ。
しばらく同じことを続けてやると、ゆっくりと眠りに入ったようでスヤスヤと寝息が聞こえていた。
隣の部屋の若様に先ほどの報告に向かった。
「どうだった、」
「後天性の記憶障害とおっしゃってました。治るかどうかもわからない。長い目で…と言ってました」
「そうか…いや、でも、これは好機だ。もともとあいつは白ひげの海賊団としてやっていた、幸いにもマークは傷で消されてしまい残ってねェ…!あいつをうちのファミリーにこのまま引き込めりゃ、後はこっちのもんだ。フフフフフッ!!」
若様は1人で解決してしまったようで、同意を求めないまま、彼女をファミリーに入れると決めたようだ。
「なんか言いたいことでもあるのか?」
「いえ…全ては若様のために…」
「あァ…そうだ。あいつの周りには情報を与えるな。白ひげについても、兄の火拳についても、何もかもだ。あいつが生きているという情報をここに留めておけ。」
「わかりました。」
静かに部屋を退室し、自室へ向かう。途中にあった部下に新聞などを一切あの部屋へ近づけないことを言いつけた。