【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第66章 失ったモノ
Side.Ace
俺は今釣りをさせられている。俺の頭には3つのたんこぶが並び釣りをしているのも俺1人。そして、後ろには米神に青筋を浮かべて怒り狂っているサッチ。
「海王類だろうが、なんだろうが…飯を釣るまでは逃さねェからな。」
「わぁってる」
ティーチたちとの落し前戦争が終わって半年…つまり、俺の双子の妹のアンが死んで半年ってわけだ。能力を失っても元々戦闘力が強かった俺は今でも2番隊隊長にいて、前のように怒られる日々を送ってる。
能力がなくなっても食欲にはなんら関係なく、食う量も変わらない。俺が釣りをさせられている理由もわかると思うが…
「また懲りずに食糧庫を漁ったのかい?」
「あァ…」
「アンちゃんがいた頃は俺にも声かけてきてただろ!!」
「アンは怒らすと怖ェんだよ!!」
「そういう問題かねい」
後ろからチクチクと文句を言われている。
アンの名前を出せるようになったのもここ2、3ヶ月だ。最初の3ヶ月くらいはもう禁句の域になっていて、アンと言った時にはみんなが空気をズンと重くした。だが、この状況を打破したのは他でも無い親父だった。
「そんなに辛ェか…名前を出せないくらい。」
「「「「あァ…」」」」
「そうだなァ…あいつは俺たちに恩を売るだけ売って逝っちまったからなァ…だがな、あいつの名前を呼ばねェってことはその存在を否定することだァ…グララララ。」
「親父…」
「呼んでやれよ…天国に響くくらいよォ?」
「そうだな!!」
「元々会話に入るくらい存在あるんだ!」
「名前呼んでやりゃ、遊びに帰ってくるかもしれねェしな!!」
そう話し合い、暗い空気を出すのをやめた俺たちはいつものように会話をしている。アンの名前が出るなんて日常茶飯事だ。
「…おい、引いてんぞッ!!」
「ウォッ!!行くぞォォォォ!!!」
俺は釣竿が折れるんじゃねェかってくらいに釣竿を引き、持ち上げた。
「お、海王類だよい」
「よっしゃぁ!!」
「俺がやるから逃すなよ、エースッ!!」
サッチはいつものナイフを手に取り、海王類へ臆することなく立ち向かった。
「よし、晩飯ゲット!!」
「しばらくは海王類の肉だねい。」
「飽きねェ様に調理してやるよ!」
アン…俺たちは元気に後悔してるからな。心配なんかすんじゃねェぞ!