【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第65章 境界線
目を開けると、そこに見えるのは見渡す限りの花畑。
『…死んだのかな…』
現実からあまりにもかけ離れていた空気を醸し出すその世界。誰もいない、風もなく、花が揺れることもない。
『どうせなら…海がよかった。』
見渡す限りの大海原を思い出して、そこにポツンと浮かぶ白い鯨。
『無事に航海できてるかな…』
海軍には会わなかっただろうか…黒ひげに襲撃はされてないだろうか…海王類たちは暴れてないだろうか…といろんな心配が浮かぶがきっと大丈夫だろう。
『みんなは強い…』
「そうだな…」
「長生きするように言ったのに…どうしてなの?」
1人で話していたはずの私と会話をしてくれる2つの声。後ろを振り向くと“あァ、また会えた”なんて思った。
『お父さん…お母さん…』
「馬鹿ね…やっぱりこの人と同じで無茶ばっかりして…あなたが1人なくなったらエースはどうするのよ。」
『大丈夫だよ…あっちにも家族がいるんだよ。』
「そうみたいだなァ…てっきりニューゲートの野郎が来ると思ってたんだがなァ。どうしてこうも何度もここにお前の方が顔出すんだ?」
「あなたの娘だから生き急いでるのよ?」
「ワッハッハッハ!そうか、俺の娘だからか!!」
2人は天国でも仲良くやっているようでよかった。
「でも、エースだけじゃなくてあなたも愛されてるのね…」
“ほら…”と指先を見ると広がり続けている花畑が目に入った。
「これはな…アンが亡くなったと知りお前を思って他の人たちが流した弔いの花畑だ。」
「その一つ一つにその人の思いが詰まってるのよ…これがエース」
触ってみると溢れてくる思い…
ー何で俺より先に逝ってんだよ…馬鹿な奴…俺はお前の分まで生きるからな
『ッエース…』
「お、これはニューゲートだぞ」
ーグララララ…親より先に死ぬなんて親不孝な事してんじゃねェよ。バカ娘が
『親父様…ッ』
「これはあなたを愛してくれていた人たち…」
ーアン…まだ俺の聞いてねェだろうがよい。ゆっくり眠れよい。
ーアン…たとえ、お前が海に還ろうが俺の伝えて気持ちは変わらない。愛してる。
ーアン…俺はお前のことを愛しつづける。また会いたいよ
「随分、男に愛されてたんだなァ…って、こいつッ!!シャンクスじゃねェか!」
「フフフ、さすが私の子ね…いい男ばっかりだわ」