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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第64章 欠けたカケラ


Side.Shanks

「そんなわけねェだろ!!」

ガシャンとなり、机から落ちて粉々になる食器たち。

「でも、お頭ッ!!新聞がッ!!」
「こんなのデマに決まってんだろ!!?」
「落ち着け、お頭…」
「ベック…」

たしかに、クルーにあたるのは違うな…。

「あいつは必ず生きて会いにくるって言ったんだ…」
「あァ…」
「あんなに強ェのに死ぬわけないだろ…」
「あァ…」

信じられるわけがねェ!!またあん時みたいに生きてるって出てくんだろ!? 早く来いよッ!!

「お頭…白ひげんところのマルコから…連絡が。」
「ッよこせ!!」

電伝虫が再現している顔はいつもの眠た気なく目…それよりも暗い目。

「おい、デマだよなッ!?マルコ!!」
[…]
「アンは生きてんだろ!?そこでクスクス笑ってんだろ!?」
[…]
「なんとか言えよッ!!マルコッ!!」

やっと話したかと思ったらマルコは、聞きたくない言葉を紡いだ。

[アンは黒ひげとの落し前戦争で死んだよい。]

ガチャンと受話器を落とした。

「お頭…ッ」
「嘘言ってんじゃねェよ。俺たちに喧嘩売る気かよ。」
[嘘でこんな電話しないよい。葬儀は3日後に船で行うよい…墓はみんなの意見で作らないことにしたんだよい。花は海へ流す。じゃあな]

それだけ言うと、マルコは電話を切ったようで…電伝虫は眠っていた。

「ハハハ…こんな入り組んだことしやがって…馬鹿にしてんじゃねェ…そんなのに引っかかるわけ…「シャンクス…」…ベック」

ベックが俺の名前を呼ぶなんてことは滅多にない。それがどう言う意味か俺たちは理解した。

「アンは死んだんだ…認めろ」

ただ紡がれているだけの言葉に、俺は立っていた体を支えられなくなった。

「嘘だろ…」

部屋は人払いがされており、俺とベックしかいなかった。

「アン…ッ」

溢れていた愛情は悲しみは変わり、俺の心を埋め尽くした。悲しみは俺の目から溢れて涙へと変わった。

「…今日は見なかったことにしてやる。」

そう言ってベックは俺の部屋からは出ず、扉の前でタバコを吸っていた。

ーシャン!!

あんなに笑顔で呼んでくれていた声が今はもう聞けないなんて…

声を上げることはなかった。でも、溢れてくるものを全て吐き出すまでは涙は止まらなかった。
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