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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第64章 欠けたカケラ


Side.Thatch

アンちゃんが死んだと言う訃報はなぜかすぐに世界に伝わった。ティーチあたりが言いふらしたか、誰か見ていた奴がいたか…。ニュースクーが新聞を運んできたとき、驚いた。

あれから、まだ数日しか経っておらず、エースもマルコも、ほかの奴らもアンちゃんを失ったと言う傷は完全には癒えてなかった。

「当たり前か…」

そして、俺たちに会った変化はもう一つ…。

「力が使えねェ!?」
「あァ…アンが死んでから何度も試したが燃えもしねェ。」
「グララララ…俺ァはティーチに奪われたから当然っちゃ当然だが…エースのはどう言うわけだァ?」
「…エースと親父は一度心臓が止まったんだ。その時に死んだと一緒で悪魔の呪いが離れたのかも知れないな。」
「それはあるかもしれないよい。現に俺はまだ使えてる」

マルコがメラメラと炎を出す。

「あ、海に落ちてみろよ」

冗談で言ったつもりだったんだ。それなのに本当にエースを海に放り込むもんだから、焦ったよ。

「プハッ!!溺れねェッ!!」
「嬉しそうだねい」
「ほっとけ…」
「と言うことは、人知れずメラメラの実は何処かに復活してるってことか。」
「そうだな!!っと、海で泳ぐの久しぶりだ。」
「そうかい…」

ビショビショのまま甲板に座り込むエースは、手を伸ばして炎を出そうしていたが、やはり出なかったようで手を戻していた。

「服が乾かせねェのは不便だな。」
「やっと、一般人の気持ちを知ったか!!」
「…ここでまた暗い話に戻すのは悪いと思うんだが…やはり伝えとこうと思った。」

そう言って話を切り出しのはイゾウだった。

「アンの最後の言葉をね…」

そう言うと明るかった雰囲気も…暗くなった。

「…何か愚痴でも言ってたか?」

そう冗談まじりの声を出したのはエースだった。

「いや、ずっと謝ってたな…。
みんなより先に逝くことを許してくれ…愛してくれてありがとう。最後には白ひげでよかったって言ってたぜ」
「ッ…馬鹿だな…あいつは…いつもいつも自分だけで対応しやがって…」
「自分のことは後回しなのに、家族を人一倍大切にして」
「強いくせに、弱いし…」
「もっと、自分のことを見てもよかったろうにな。」

アンちゃんはもう長生きできないと言った。でも、生きてたら何かしら…なんて悔いた。
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