【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第63章 落し前戦争の開戦
流れていくシャボンにジョズたちを合流させて、近くに来ていたモビーへと乗せた。
ーデュース、お願いがあるんだ。
ーなんだ?
ー戦いが始まって、島が崩れ始めたときモビーを島の近海に持ってきて欲しい。
ーなんでそんなことを
ーなんでってみんなで逃げるためでしょ?
『ちゃんと来てくれてありがとう』
「ゼハハハハ…まだ、まだだッ!!」
『…ッまだ…』
倒れちゃダメ…みんなをもっと遠くへ…島から離すんだ。
『…フッ、やれるだけやってあげる。』
「ッ望むところだァ!!!」
ティーチたちは一斉に攻撃を仕掛けていた。島を海へ変える力、みんなを癒せるだけの力…そんなに使ったら動けるわけもない。
『ッグァ!!!』
容赦なく降り注ぐ攻撃に防ぐ力もなくただ受けるしかなかった。
「ゼハハハハッ!!それだけで終わりかッ!!」
近くやってきた黒ひげに髪を掴まれて上をむかされる。
「本当にもったいないぜェ、その容姿も能力も気に入ってたのによォ、ゼハハハハ」
『ッあんたに気に入られても何も嬉しくないのよ。』
最後の力を振り絞って掴まれていた髪を切り、ティーチに一撃を入れた。そのとき最後に残っていた島の部分が崩れてティーチとその一味は海へ落ちていった。
『ハハ…殺すことはできなかった…ッグ…ハァハァ』
「俺ァ…生き残る方にかけたんだけどな…アンちゃん」
冷えた空気を纏って、自分で足場を作り現れた長身の男。
『クザン…ッハァ…さん…ッ』
「そんなボロボロで…死んじゃうじゃない…アンちゃん」
『ねェ…モビーはまだ見えますか…ッ』
「見えない…もう、海の彼方に行ったよ」
『…よかった…これでもう…』
「何か言うことは?」
『…マルコにッ会ったら…愛してましたッと言って、くださいッ』
「それを俺に頼むかな…普通…」
『クザン、さんはッ、昔から…優しいから…』
「はいはい…保証はしないけど。」
『フフ…さよならです…ッ』
自分が座っていたところもついには海へと還った。落ちた海はいつもより冷たくて、ただ深く深く沈んでいくだけだった。
おじいちゃん…私生きてみてよかった。
エースと、ルフィと、サボと…親父様、マルコ、みんなに会えて…生きててよかった…
おじいちゃんより早く行ってしまうけど…楽しかったよ
ありがとう…
そう呟く声は海の泡となった。