【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第63章 落し前戦争の開戦
「な、何してんだよ!!」
「親父の息が戻った!!」
「おい、エースもだッ!!」
『もう…これ以上は戦わないで。船に帰ろう』
迫り上がる血を外に吐き、自身の傷は癒えてないことにフッと笑みを溢す。
「ゼハハハハッ、その能力は厄介だなァ…やっぱり死んでくれよ、アン」
『…ティーチ、あなたはもう家族じゃない。家族だと思わない。私の大切な人たちを傷つけた…許さない、ずっと。』
「そのボロボロの身体で何ができる。」
「我々もまだいるのですよ。ホホホホ」
『そう…でも、親父様もみんなももう充分戦った。だから、船に帰ってもらう…ッ私にも、逃すくらいはできるッ!!』
「何言ってんだ、アンちゃん!!!」
「俺たちはみんなで帰るって言っただろ!!!」
「戻って!!!アンッ!!!」
みんなが呼び止めてくれる声に、伸ばしてくれるその手掴みそうになる。でも…最後まで守りたい…!
『エースは生きてる、親父様も生きてる、マルコもジョズたちも。みんなが揃えば航海もいつも通りできるよね…』
「お前がいなきゃッ!!いつも通りじゃないだろッ!!」
『親父様たちに、エースに、みんなに先に逝くことを誤って欲しい…そして、たくさんの愛をくれてありがとうって伝えて欲しい。』
ボロボロと涙を流すみんなに決心が揺らぎそうになる。
『私は白ひげで幸せだったよ。』
「別れの挨拶はそれだけかァ?ゼハハハハ!!どうやって逃すってんだッ!!」
『ティーチ…能力者には覚醒がある。覚醒した能力者は自身以外にもその力を振るうことができるッ、私の覚醒は治すだけじゃないッ!!モード水神ッ!!』
青い鎧、水が宙を舞う。
『ちゃんとモビーに届けるから…頼んでるんだ、迎えにきて欲しいって。』
地面に手をつける、水圧の壁をシャボンに変える。
「何をする気だ。」
『大業…地変水流ッ!!!!』
「なッ!!!」
手をついていた周りから徐々に土が水は変わっていく。
『島ごと海に変えれば…船のないあなたは溺れ死ぬでしょう?』
「このガキーーーーッ!!!」
ドロッと崩れ落ちて水に変わっていく島。
『モビーには届けるからね。』
そう言って、みんなの入ってるシャボンを押した。
「アンちゃん!!!」
『サッチ…言ったよね。みんなを優先して…って』
にっこりと笑うとサッチの手は宙をかいた。