【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第63章 落し前戦争の開戦
それと同時に手薄になった私の後ろには覇気と闇を纏った黒ひげの腕が伸びてきていた。
「死んで後悔しろォォォォッ!!!」
「アンちゃん!!」
「「「「アンッ!!!」」」」
ドンッとたしかに聞こえた。何かが当たった感触はあるのに、痛みはこない…。
「ッがはッ…アン、無事か…」
そう聞いてきたのは、今まさに手当てを受けていたはずのエース。
『エ…ス…ッなんで』
「俺には…ッ部下を、置いてくなッて言うくせによ…お前は、家族ばっかで、自分をみねェな…ゲホッ…」
「ゼハハハハ…これはこれでいいか。」
ずらりと抜ける手にエースが支えを失ったように、崩れた。
『ッエースッ、やだ…死なないで…』
「馬鹿言うな…俺は、死なねェ…よ」
「アンッ!!早く止血をッ!!!」
エースを支えているだけだった手を一気に引いてくれたのは家族で、マルコや親父様、エースの手当てを自身の服で必死に行っていた。
「俺たちは死なないからよい。安心しろ」
マルコは苦しそうな顔で言った。そして、倒れた。
違う…そんな顔を見たかったんじゃない。
みんなを傷つけたかったんじゃない…。
『生きて帰るって約束したもんね…ッ』
再び立ち上がると、ボタボタと体から流れる血。
「おい、動くなッ!!」
「エースッ!!何、心臓止めてんだッ!!諦めんな!!」
「親父!!!戻ってきてくれ!!!」
『もう…いいよね…これ以上は無理だよ。』
「お、おい…何する気だッ!!」
『そこにいていいよ…ジョズたちもちゃんと船に向かうから安心して…エースたちも死なせない。』
水圧の壁の外に出る。
「ゼハハハハ…1人でやる気か?」
『もう、時間なんていらない…命なんていらない。私はッ!!私の大切なものを守るッ!!!』
手を合わせると意識を集中させる。
「お、おい!!それは使わない約束だ!!!」
「やめろッ!!アンッ!!!」
『癒しの弓矢:ヒーリングアロー』
緑の玉を17個作り、それぞれの身体に矢を放った。
『エース、親父様、マルコ、サッチ、イゾウ、ハルタ、ビスタ、ナミュール、アトモス、ジョズ、キングデュー、クリエル、ブレンハイム、フォッサ、ブラメンコ、ラクヨウ、ジル…もう十分だよ。』
みんなの体にスッと入っていく矢は彼らの体を癒していった。
『ッゲホ…』