【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第62章 見つけた敵
「何事だよい、親父!」
「飯食ってる途中だったんだぜ?」
「そんなに急ぎの用なの?」
「あァ…」
たった一言…そうたった一言話しただけだったのに、ざわざわしていた隊長たちがシンと静まった。扉を閉めてくれたのはサッチだった。
「アンが情報を前々から集めていたのは知ってるなァ」
「あ、あァ」
「その中に奴の居場所を特定できる情報が出た。アン」
『うん…ティーチはこの島の隣の無人島にいる。』
「「「なッ!!!」」」
「本当なのか!?」
「こんなに近くにあいつがいやがんのか!!?」
「落ち着けェ…グララララ。一年はかかると思ってたんだがなァ。お前らはどうしたい。」
「俺は今からでも潰しに行きたい!」
「俺もだ、親父!!」
「いつまでも奴をのさばらすなんてごめんだ!」
「マルコ…お前ェはどう思う。」
「俺は…まだ早いと思ってるが、みんなの意見通り、のさばらすのには反対だよい」
「そうかァ、なら出航準備をしろォォ。ティーチのあの野郎に落し前をつけに行くぞォォ!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」
船全体に響く雄叫び…こんなに早く見つかるなんて思ってなかった。
「アンちゃん、ありがとな」
『ううん…みんなの総意だもん。』
それから船は急ぎ出航の準備を始めた。まず、隊員たちを雨の甲板に集めた。甲板に水の膜を張り、みんなが雨に濡れないようにした。
「いいかァ、息子たちよ。これから大事な話をする」
普段長く話すことのない親父様が前に立ち、隊長たちはその前に全員が並んでいた。
「俺たちァ、今から船を裏切り戦争の火種を作ったティーチの野郎に落し前をつけに行く。」
その言葉を聞いた時ざわりとまた空気が揺れた。
「あいつは俺たちを裏切り、家族を売り、傷つけた。俺ァ、なんとしてでも落し前をつけてェと思っている。あいつの罪は海賊船で最もやっちゃならねェ、信頼を裏切る行為だ。鉄の掟を破った。俺の船に乗せたからにゃどんなバカでもおれの息子だ。仁義をかいちゃこの人の世は渡っちゃあいけねェんだとティーチのバカに教えてやるのがおれの責任だろうがよ」
『ッ…』
「だから、俺ァ蹴りをつけに行く。だが、お前たちは来るなァ。」
「「「親父!!!」」」
「今回は俺たちだけで蹴りをつけるよい。」
「なに、安心しろ。ちゃんと全員で帰ってくる」
「当たり前だ!!」