【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第62章 見つけた敵
「ん、なんだ。誘ってんのか?」
ギシと古いベットの軋む音が聞こえた。
『まさか…冗談言わないで。それより、さっきの黒ひげの話教えてよ』
「あー、そんな話してたなァ」
『忘れないで。そのためだけに来たんだから。』
「情報を話せばお前はなにくれるのか?」
退路に腕を置かれ、迫ってくる体。
『なにが欲しいの?』
「そうだな…白ひげの首『ふざけんなッ…』…冗談だ」
ダガーを抜いて、首に押し当ててやった。
「ッ…じゃじゃ馬な女だな。」
『あんたがふざけたとか言ってるからでしょう?』
「くくく、それもそうか。そうだな…体で払ってもらおうか」
『いや。』
「これもダメか…じゃあ、なんならくれるんだよ」
『なにもあげない。あいつの情報に私はなにも払わない。』
凛とした声が出たな…っと自分でも思った。シュライヤはポカンとしていて固まっていた。
『どいて…さ、話して。海賊処刑人なんだから、それなりの情報持ってるんでしょう?』
椅子に座り、足を組んで置いてあった水を飲んだ。
「くくく、まじでいい女だな!お前、俺と一緒に来いよ!」
『ない。』
「そうか…じゃあ、情報量はこれで。」
そう言って朝まで歩いてきたシュライヤは私に口付けた。
『ちょっ…なに!?』
「俺、女の趣味はいいんだぜ?キスくらいならしてくれるだろ?」
『いや、理由になってないし。もうしたでしょ。早く話してよ』
「チッ…もっと深いのを希望してたんだけどな。まァ…いいか。黒ひげっつうのは、あの頂上戦争で囚人を引き連れて逃げたあいつだよな?」
『そうよ。』
「隣の島だ。」
『え?』
「だから…隣の無人島に今滞在してんだよ。」
『え…』
手からグラスが滑り落ちて、ガシャンと割れた。
「お、おい!」
『隣の島にいるの…あいつが…』
下に落ちたはずのグラスの水がゆらゆらと動き始めた。
「おい!しっかりしろ!!」
肩を掴まれてグラグラと揺すられると意識がはっきりした。
『隣の島のログは!?』
「1ヶ月…新世界にも長いログはあるからな。俺が仕入れた話じゃもうすぐ2週間ってところだな。」
2週間…あと2週間近くで違う島に…。
『帰る。』
「ちょっと待てって!まだ服着てないだろ!?」
『いい、このまま帰る!!』
「帰せるかっての!」
シュライヤは腕を引いてきて、扉がどんどん遠のいていた。
「ったく…」