【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第62章 見つけた敵
『ふぅ…』
十数分後、足元に散らばる無残な遺体の数にどうしようかとため息をついた。ピチョンと上から降ってくる水がいくつも降り注ぎ雨になった。
『よかった…服汚れてない…』
雨に濡れることなんて大したことはない。自慢のダガーも雨水がその血を洗い流してくれる。
「派手だな〜、お前…」
『誰…』
少し奥の影になっているところに体を預けるように立っている男。黒い帽子に黄色いパーカー、顔にはかぎ針のような刺青。赤みがかったクセのある髪。
「俺はシュライヤって言うんだ。よろしくな」
『海賊処刑人が私に何の用?私を殺しにでも来たの?』
「お前は殺さない。自分の首がOnly aliveなのは知ってるだろ?」
『じゃあ、なに。冷やかしに来ただけなら帰ってくれるかしら。』
コツンコツンと雨の中に響く足音を響かせて、彼は目の前にまで来た。
「さっきの話聞いてたんたが…あんた、黒ひげを探してんだろ?」
『ッ!!』
顔を勢いよく挙げると、その男はニヤニヤとした笑みで私を見下ろしていた。
「お、思ってたより可愛い顔してるじゃねェか。」
『黒ひげのこと!!何か知ってるの!?』
「おいおい、落ち着けって…な?」
胸ぐらを掴んでいた手をゆっくりと掴まれ、下に下される。
「そこに宿を借りてんだ。話でもしようぜ?」
『結構よ、ここで今、話して頂戴!!』
「そりゃできねェな?そこをみろよ。」
血が町の表通りまで流れてしまったのか、人の声がだんだん近づいてくる。
『ッち。』
「な、俺の部屋…とりあえずこいよ。着替えも用意してやるから。」
私はこの甘い誘いを受け入れた。ティーチの情報を知るためなら…仕方ない。
「大人しくしてりゃ可愛いもんだな。」
『ほっといて!』
部屋に入ると、ドカッと個室に押し込まれた。
『ちょっと!!』
「先風呂行け、血生臭くて話せる状況じゃねェ!!」
周りを見渡すと押し込まれたのがお風呂だと言うことに気がついた。警戒をしてないわけではないが、私の能力が有れば問題ないだろうと思い、服を脱いでシャワーを浴びる。
『あったかい…』
冷たくなっていた体に染み渡るようだった。お風呂から上がるとシャツが一枚だけポツンと残されていた。
『私の服は?』
「洗濯に出してる。服置いといただろ?」
『着てるけど…下着までありがとう。』
ベッドに座る彼に近づいた。