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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第61章 隠したい気持ち


あっさりと言った言葉は自分の中にもストンと落ちてきた。

みんなに“落としてみて”と言っていたのも時間稼ぎ、離れれば好意とか消えると思ってた。そんなことはなかったけど。

「後悔は…ねェってか…」
『ないよ!!大好きな家族がいつまでも航海を続けられるんだから!後悔なんて「本当のことを言ってくれッ!!」ッ!!』

サッチが珍しく本気で怒ってる。でもどうしようもないでしょう?

『…ないよ。後悔…強いて言えば悲しい恋をしたって感じかな』

初恋は実らないと聞いたことがあった。案外本当なのかもしれない。

『サッチッ!!誰にも言わないでね。みんなの悲しい顔も後悔にまみれた顔も見たくないんだッ!最後の日までみんなで笑っていたい』
「…馬鹿野郎が…」

サッチはしっかり“誰にも言わない”と約束してくれた、“破ったときはリーゼントおるからね”なんて冗談まじりに言うと“鬼かよ”と帰ってきた。

いつものサッチとはいかないけど、なんとか持ち堪えてくれているみたいでよかった。

「俺は言うべきだと今でも思ってる」
『いいんだよ、悲しい思いはしなくても…みんなの笑顔が私の願いだから!』

にっこり笑って言うとサッチもそれに返すようににっこりと笑ってくれた。

「酔い、覚めちまったな!」
『そうだね〜、重い話だったし…』
「もう一軒行くか?」
『いや…部屋に戻るよ、少しだけ気持ちも楽になったからよく眠れそう。あ、サッチ…』
「ん、なんだ?」
『私よりみんなを優先してね。』
「…何言ってんだよ、俺はみんなを助けるの。」
『そっか!』

私たちは2人また船まで世間を話をしながら歩いた。サッチはいつも通り戯けたように話してくれた。

「アンちゃん、おやすみ」
『うん、おやすみサッチ!』

お互い部屋に戻った。船には閑散とした雰囲気が流れており、外で外泊のものが多いのだろう。

『マルコもかな…』

隣の部屋には人の気配はなく、きっとそうなんだろうと思ったとき涙がポロポロと溢れてくる。

『ッ泣かないって決めたのになッ…』

もっと生きたい…マルコと…エースと…みんなと…

もっと旅をしたかった…ちゃんと向き合って、恋をして…

もっと生きていたかった…!

私はその夜布団に潜り声を押し殺して泣いた。後悔はないなんて嘘だ。後悔ばかりだ。でも、みんなを助けたことに後悔なんかしない…。
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