【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第61章 隠したい気持ち
その一言を言うと、サッチは泣いていた涙が止まって固まっていた。
「…んで…」
『ん?』
「なんでなんだッ!!なんでなんだよッ!!」
サッチは何かに怒りをぶつけるように膝をついた。
『…サッチ…』
「…教えてくれ…なんで、生きられないんだ。」
これを言うのは…彼にとっては自分を責めることになるんだろう。それに聞いた人はみんな自身を責める。
『どうしても?』
「…アンちゃん」
いつのまにか涙も無くなっていて、サッチは真剣な顔をしていた。
『じゃあ、誰も責めないこと。それが条件だよ』
「何を…」
『出来ないなら答えない。』
「…またかよ。アンちゃんには敵わねェな。」
『サッチは優しいから、それに漬け込んでるのよ』
「とんだ悪女だな…」
『ふふッ、で、どうなの?』
「あァ…約束する」
ほら、優しい。きっとエースなら理由を言うまで絶対に約束なんてしない。マルコもイゾウも、きっともう約束なんてしてくれない。
『私の能力覚えてる?癒しの涙ってやつ。』
「あァ。」
『あれって寿命を使うでしょう?小さな玉に対して使う寿命は5年。』
「おい、まさかッ!!」
『話が早くて助かるよ。多発しすぎて寿命が切れたの。』
サッチの顔は後悔に押し潰されている顔だった。
Side.Thatch
嘘だろ…俺たちが…ッ
アンちゃんの能力の代償をはっきり聞いて俺が真っ先に思ったのは自分の甘さを恨んだ。
「ッくそ」
1つに対して1年なんて甘いことを思っていた自分が恥ずかしい。あんなに強い回復力に代償がそんなに甘いわけがない。
俺はこの時初めて、己の…家族の…甘さに気がついた。
どんなに後悔しても、どんなに願っても…時間は戻ることはない。
『そんな顔して…自分を責めてるでしょ。それじゃあ約束が違うよ。』
「ッ。」
この子はなんで…こんなにあっさりしてんだ…
「もっと責めろよ!!お前たちのせいだって!!」
『サッチ…前に言ったでしょう?私の自己満足なんだから誰も悪くないよ。』
だから、マルコが悲しむってのは…。
これでやっと一本に繋がった。この子が知ってて何もしないのは…伝えないのは…この先死ぬことを知ってるから…。
『ね、だから…マルコに気持ちを伝えるなんてできないし、マルコの気持ちを受け入れることもできないの…』