【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第61章 隠したい気持ち
Side.Thatch
マルコの気持ちに気づかない理由を聞こうとしてただけだった。
ただ、受け入れてくれない理由を訊こうとしただけだった。
「…俺はよ。アンちゃんが気づいてないとは思えないわけ。あんなにマルコを目で追ってて、自分が好きってのも自覚してる。のにさ、あんなに熱烈にアピールしてるマルコの気持ちに気づかないわけないと思ってるわけよ。どう?」
俺は知ってたんだ。前からその気持ちがお互いぶつかっていることも。アンちゃんが気持ちに気づいてることも。そりゃ、分かるだろ? 2人で愛し合ってるように見つめ合ってればさ。
悲しいよ、俺は…こんなに思い合ってるのに…
少し切り詰めて話をするとあっさり話してくれた。
『…知ってるよ、マルコが思ってくれてるのも、みんなが本気で思ってくれるのも、応援してくれてるのも。』
「じゃあ、なんでッ!」
『…内緒。』
どれだけ聴いても話してくれない。肝心なことが聞けない。
「俺は…本気でアンちゃんとマルコに幸せになってもらいたいッ…教えてくれよッ、理由を!!」
黙り込んだアンちゃんは何かを考えていた。
「マルコは…本気でアンちゃんを…ッ」
『どうして、サッチが泣くのよ…』
不意に目尻から流れている熱いもの…俺はこの2人を幸せにしてやりたい。ティーチに殺されそうになった時助けてくれたアンちゃんを…何十年も寄り添った兄弟のマルコを…。
「…何がッ、アンちゃんの負担なんだよッ!」
『…負担じゃないよ。すごく嬉しい。だって…今までこんな思いをしたことがないくらいずっとドキドキしてる、こんなに心が大好きって叫んでる。初めてだよ』
「じゃあ、なんでなんだッ!!」
『…悲しませたくないからだよ。マルコはきっと大切にしてくれる、そんなの分かってるよ。大人だし、優しいところも知ってる。だからこそ、悲しませたくない』
「何が悲しいんだよ!!思い合えば悲しいわけないだろ!」
思いが伝われば悲しい訳なんてないんだ…
『誰にも言わないでほしい…』
「何をッ…」
『私ね…ーーーーーー』
そこで紡がれた言葉はあまりに過酷な彼女な運命を恨んでしまうものだった。
どうして…この子ばっかり…こんなことに…
『私ね、もう長生きできないの…』