【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第60章 遅れたが…
見張りの隊員たちに言葉をかけると、部屋に戻って荷物を置いた。
『ッと上の服くらい持っとかないとまた変なのに絡まれるな』
今まではマルコがいたから問題なく水着にショーパンといつもの格好で動けていたが、今はいない上にもう外は薄暗い。町も夜の雰囲気へと移っていた。
『これでいいか…』
手に取った服を上から来て、少しは露出を控える。そして、甲板の見張りの子たちに“行ってきます”と声をかけて、酒場へ向かった。
『もう始まってるかな〜』
走っていると時折シャランと耳に入る音が心地よかった。宴の会場となる酒場はもうすでに外に聞こえるくらいの賑わいを見せていた。中に入るとすぐそこにナースのお姉様方がみんなで飲んでいた。
「あら、アンちゃん。遅いわよ?」
「ちゃんと服着てきたの?偉いわねー」
「ここ、触りなよ。」
『お邪魔しますー。お姉様と外で飲むのは初めてですよね。』
「そうね〜、私たちあんまり夜の町は出ないようにしてるからね。」
「今日は船長さんがいるし、隊長たちも守ってくれるでしょう?」
そう言って優雅にお酒を飲んでいた。
「私、アンちゃんに聞きたいことがあったのよね〜」
「私も」
『え、なんですか?』
「初恋の相手とはどんな感じなの?」
『ブッ!!ゲホッゲホッ!!』
「あら、大丈夫?」
「咳き込むくらいに進展はあったのかしら?」
『いやいやいや、ないですよ!!それに…』
「それに?」
『…私のことなんて妹としてしか見てないですよ。』
そういうと話していたナースたちのお喋りが止まった。
『え、なんですか?』
「本気で言ってるのかしら?」
「なら、相当鈍いわね」
「どうしましょうか。」
「これは気づいてないですよ」
『え、え?』
「私たちが伝えられないのよね〜、うーん、もどかしい!」
「戦闘や仕事に関しては鋭いのに〜」
“ん?”と首を傾げていると、“あなたはそのままでいいわ”、“あちらさんに早くなんとかしてもらいましょう?”なんて黒いオーラが出ていたので話に入るのはやめた。
「思いを伝える気はないの?」
『リアス…うーん。今の関係を崩したくないって思うの、それに断られたら立ち直れないような気がする』
「随分マイナスなのね。」
「初めてだから、怖いのよね〜」
「可愛いわ、そのピュアさ!!」
ナースのお姉様方はギューと抱きついてきた。