【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第6章 一難さってまた一難
「そんなのわからん!! まだそいつらに分かってないものを俺がわかるわきゃねェだろう!!」
『そんな自信満々に…』
「まぁでも、1つ言えることは…生きてみりゃわかるだろ。
そいつらもそこで生きることをやめなくてよかったな、生きてりゃなんでもできる。それが自由を求める海賊だろうが、正義を守る海軍だろうが、世界を変える革命軍だろうが…それが自分に合ってるかも、何のために生まれたのかもきっと生きてりゃわかるんだよ!」
にししと得意げに笑う彼から、自身の兄や弟の顔が重なった。
なにも知らない彼は私たちを否定しなかった。
それだけで胸にこみ上げてくるものがあった。
『ッ…うッ…っぅ…』
「お、お、おい!! なに泣いてんだよ!」
「あー、お頭が女泣かしてる!」
「流石にそれは…」
「うわァ…やっちまったな。」
「お、おれのせいなのか!?!ど、ど、ど、どうしたら!?!」
「泣かせてやりゃいい…ずっと溜め込んでたものがあるんだろ。」
ベックの優しい言葉…みんなの慰めの言葉。
誰もが心に響いてしまう。
やめて、優しくしないで…このままじゃ…
海賊を好きになってしまう…
夜もすっかり明け、甲板にはいくつかの屍とかした人たちが寝転がっていた。もちろん、目立つ赤髪もそこにいた。あの後、泣き疲れた私は一足先に就寝させてもらった。もちろん、鍵付きの船長室を借りた。敵だが、どこかで彼らを認めてしまった。おかげで警戒心というものがなくゆっくりと眠ってしまった。
「おう…起きてたのか。」
『あァ、おはようございます。ベック』
「敬語なのか、そうじゃないのかどっちかにしてくれ。」
『…そこはまァ敬語にしましょうか。一応は敵なわけですし。』
「…ふっ、そうか。」
『ところで、白ひげとの約束の場所はまだなんですか?』
「あァ、あと数時間だ。」
『では、あと数時間でお役御免ですね。』
「そう、寂しいこと言うなよー! 俺はおまえが気に入った!!
おまえ、俺の仲間になれよ!」
「珍しいな…お頭が起きてるなんて。」
「うるせー、ベック! 俺は今アンを誘ってんだ!!」
『丁重にお断りします…』
「なんでだよ!!!」
『私が海軍だからです。海賊には(今のところ)なりません。』
「なんだ…今、間があったぞ。」
そのあとも船長さんはしつこく勧誘をしてきた。