【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第60章 遅れたが…
マルコから各隊へ伝令が伝わった。
【あと数日もすれば大きな街に着くよい。ログは3日。各隊長は必要なものを確認し、予算案を明日中に出せよい。大きな島だからない。ちゃんとチェックしとけい】
『そ、分かった。ありがとう。』
「はい!! 失礼します!」
知らせに来てくれた隊員はダッシュ帰っていった。
『やっぱりシャワー上がりはダメだったか。』
「当たり前だよい。アン…」
壁に寄りかかるように眉間にシワを寄せて立つマルコ。
『…』
「アン、俺は今から島の準備をするために偵察に行くよい。悪いが1番隊の指揮と各隊の予算案のチェックとか頼むよい」
『ん、わかった。』
「あっさりだねい…しばらく離れるんだよい。もっと惜しんで欲しいねい」
『惜しむ??』
「例えばいってらっしゃいのキスなんてどうだい?」
後ろには扉、前にはマルコ…なんて状況だ…
「で、どうだい?」
『そうね…』
背が高い…私も高い方だと思ってたんだけど。
「何考えてんだい?」
『内緒…』
「アン…前に言おうとしてたこと言ってもいいか…ん」
マルコが何かを言おうとしていた口にキスをした。触れるぐらいの軽いキス。
『いってらっしゃい。』
「ッ〜〜////やられたよい。」
『からかってばっかりだからよ?』
「覚えとけよい。」
『そうね…』
マルコは顔はまだ赤かったが自室に戻っていった。おそらく準備をするんだろう。
『ッもう…馬鹿。』
Side.Marco
からかったつもりだった。キスなんて期待してなかった。扉に追い詰めてやれば、その大きな目をこちらに向けていた。
「アン…前に言おうとしてたこと言ってもいいか…ん」
言葉を遮るように触れた小さな熱。薄く開いた口に舌を入れてしまいたいと思った。
たりねェ…。
『いってらっしゃい。』なんてそんな顔で言われたらなにもできねェだろうがよい。
顔が熱い…くそッ…
部屋に戻って、ベッドに一度寝転んだ。
「あァ…押し倒してェよい。」
そんなことをすれば嫌われるだろう。今、その言葉すら聞いてもらえねェ。俺も女々しい男になったモンだよい。恋っつうのがこんなにもどかしくて苦しいものだったなんてな。
スッと起き上がり、偵察の準備をして親父に声をかけてから船を飛び立った。
「覚悟してろい…アン」