【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第58章 訓練始めます!
『…私、生きる意味が分からなかったんです。海軍に入ったのもおじいちゃんのためだったし、エースと2人、子供のころは散々でした。でも、親父様はそんな私たちに言ってくれたんです。“生まれてきた子供に罪はない”それを聞いた時悩んでた自分がバカみたいになって…“家族のために…あの人のために力を使いたい”そう思ったんです。』
手をスルリと解き、こちらに向かって来ようとしていた家族に視線を向けて微笑んだ。
『彼らのためになら、この数限り少ない命も使える。』
「アンちゃんって、本当馬鹿だよね。あと、家族愛強過ぎ」
『…ふふ、最近よく言われます。』
「敬語外してよ、もう上司でもなんでもないんだし。」
『そう…だね。内緒だよ?』
「生き残る可能性ってやつもあるんでしょ?」
『えぇ、もちろん。私の家族強いから。』
「なら、俺ァ、そっちにかけるよ。」
『え?』
「その戦争はいつ?」
『あと半年以内には…』
「そ、じゃあ、半年後、俺に会いにきて。これ渡しとくから」
そう言って、紙をくれる。
「別に諦めるなんて…言ってないし。ほら、なんだ。友達だから、ね?」
少し頬を赤らめて言うクザンさんなんて初めて見た。
『そうだね。頑張って生きるよ!』
「おう、そうしてくれ。じゃあ、俺はもうそろそろ行くわ〜。君の家族の視線痛いし。」
『過保護なんだ、みんな』
「君がそれだけ愛しいからでしょ?」
『そう…なのかな? じゃあ、気をつけて。さようなら』
「こらこら、そこはまたねでしょ?」
『…またね』
少し困った顔になってしまったが、笑顔は作れていたと思う。クザンさんは相変わらずうるさい自転車をキコキコと漕ぎながら海へ帰っていった。
『話すつもりなんてなかったんだけどなー。』
「なにがだよい?」
上から顔を覗かせたのは可愛い不死鳥の姿のマルコ。
『ん、内緒!』
「おいおい、内緒はなしだよい!」
『覚えたらまた話すよ〜!!』
砂浜を走って戻る、そしてエースに抱きつくとバランスがちゃんと取れなかったのか倒れ込んだ。
「いてて…急にくんなって!」
『えへへ、すみません!』
「ったく何してんだよ。2人してー」
「ほら。」
『ありがとう、イゾウ!』
何があっても…たとえ死んでも…私は家族を守る。
『人生に悔いは残さない!だよね!』
「…あァ!!」
エースに聞くと笑顔で答えてくれた。