【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第57章 大喧嘩
何度か意識を取り戻したマルコは何かを言おうとして、言葉を止めた。
「…俺のことは嫌いかい?」
ずるい質問だと思った。
『ううん…』
「そうかい…今はそれが知れただけでもいいよい」
マルコは力なく笑った。あァ…この笑顔が見たかった。
『…ッごめん…』
また流れてくる涙に、マルコはワタワタと慌て始めた。
「泣くない…お前は本当によく泣くよい」
ポンポンと頭を撫でられれば、それだけでホッとしてしまう自分がいた。
今度の落し前戦争で私は家族のために命をかける。
「アン?」
『ううん、なんでもない。さ、上がろっか』
「もう少しここにいたいよい。モビー下からみるなんてそうそう経験できるもんじゃないだろい?」
マルコはニコニコと笑っていた。
『そうだね…マルコ…』
「ん?」
『必ず勝とうね。』
「当たり前だよい」
そのあとしばらく2人で話をしながら海の中にいた。時々、海王類が声をかけてきていた。
〔女神、上が騒がしいよ。〕
『うん』
「どうかしたかよい?」
『エースやサッチが騒いでるんだって。』
「そうかい…あ、そういえばサッチには後でやらなきゃいけないことがあったねい」
『ん?』
「気にすんない。さ、そろそろ上がるかよい」
『そうだね。』
私はシャボンのまま、海水を持ち上げて船へ帰った。
Side.Ace
「もう3時間だぜ!?!?」
「グララララッ、落ち着けェ」
「アンのやつ、かなり傷ついてんだ!!」
「マルコも行ってるから、今頃2人で…」
「ッざけんな!! 俺は真剣に…!!」
あまりにも帰って来ない2人に船から海を何度も覗き込んだ。飛び込むわけにもいかないから、覗き込むだけ。それでも上がってくる気配はなくて、2人で死んだか?なんて思っちまう。
「そろそろ戻ってくんだろ?」
「わかんねェだろ!!」
そんな会話をしてたとき、ザブンッと水面がいきなり持ち上がり、甲板にたった2人。
「ほらな?」
「アンッ!」
『おっと、エース。心配かけてごめんね?』
「おう。」
アンはいつも通りに戻っていて、マルコはなんかサッチの方へ黒いオーラを纏わせて歩いて行った。
「話はついたかァ?」
『うん!ごめんね、親父様』
「グララッ!たまにの兄妹喧嘩くらい構わねェ!大いにしろォ!」
親父はいつもより上機嫌だった。