【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第57章 大喧嘩
海の中、深く深く海底へ。ふと上を見上げると太陽が差し込んでいる。
『…嵐はおさまったんだ…』
ゆっくり航海しているモビーの真下を進む。あの時海王類が聞いてきた。
〔どうして?どうして、泣いてるの?〕
〔酷いことを言われた?〕
〔それとも…悲しいから?〕
〔その人が好きだったの?〕
悲しいとは確かに思った…紡がれた言葉は傷ついた。
『それは…マルコだったから…なのかな』
確かに初恋はマルコだったと思う。今までそういう経験もなかったのでそれを恋なのかと聞かれれば分からないと答える。
でも、見るとドキドキしたり、悲しそうな顔は見たくない…傷付けたくない…。いつの間にかこんな感情が生まれてきてた。
ナースのお姉様方は“恋ってそういうものよ”、“初めてなんだからわからないことだらけよね”なんて言ってたけど。
『この辛い気持ちが恋なら…しんどいな〜』
ドボンッと真上から勢いよく落ちてくる何か…モビーの船から何か落ちたのだろうか…。
ジッと見ているとそれが人だとわかった。
『え!?!』
Side.Thatch
マルコの馬鹿野郎が…。
「なんでサッチまで怒ってんだよー」
「怒ってねェよ!!」
「怒ってるな。」
もう2時間はたっただろうかマルコもアンちゃんも飯も食いにこない。まだきっとお互いの気持ちに整理がついてないんだろう。
「マルコも恋とかいうのに疎かったんだな〜」
「あいつはほら、顔がいいだろ?女を取っ替え引っ替えしてきたからな。恋なんて可愛いもんはしてないんさね」
「へぇ〜」
「いや…一度だけあるはずだ。なんかの紙見てニコニコ気持ち悪いくらいにしてた時があったからな。あれはきっと好きな女の写真だぜ?」
「ふ〜ん」
どれだけ噂をしようが、話をしようが全然出てこない2人に堪忍袋も限界だ。
「ちょっと行ってくるわ」
「お、おう…」
俺はマルコの部屋に突撃したんだけどよ、あいつ…考えもせずに書類整理してやがった。
「ッざけんな!!来いよッ!!」
抵抗する気がないのかマルコはあっさり俺に引きずられた。甲板に来る時そのまま力任せに海へ落としてやった。
「2人でしっかり話してこいッ!!」
「ばッ!!」
ドボンッと大きな水しぶきを上げて、マルコは海に落ちた。
「サッチ隊長…マルコ隊長ってカナヅチですよね」
「あァ!」