【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第57章 大喧嘩
Side.Marco
シャンクスとの会話でゲロったアンを問い詰めた。どんだけ言っても分からねェの一点張り。
なんでわかってくれねェんだ。
俺たちはお前にはちゃんと幸せになってほしいから…。
「そんな、男をとっかえひっかえしやがって…餓鬼が情婦の真似事なんてしてんじゃねェッ!!」
怒りが頂点に達した俺が言ってしまった一言は…もう取り返しのつかないことになっていた。
アンが怒るたびに海が荒れた。雲が厚く世界を覆った。雨も降り出した。
『…彼氏でもないくせに…私を縛ろうとしないで!!』
ピシッと青筋が切れかかったのが分かる。
「ッてめェ…」
『自分たちはやることやってる癖に、私は子供扱いして…私だって海賊よ。』
確かに俺たちはそうやって生きてきた。だが、お前は違うんだなんでわかんねェんだよい。
歯止めが効かなかった俺たちの喧嘩は親父の仲裁が入った。親父はアンにフォローを入れてくれたが、今は何も聞かなかった。
アンから紡がれた言葉は小さくて、そしてついにザーザーと雨か降る、アンにも涙が流れていた。
そんな顔をさせたかったんじゃない…。
俺は…。
『頭冷やす…海も落ち着かせる。モビーを降りろというなら降りる。しばらくは海に帰る。』
アンはいつものように誰の話も聞かずに海に飛び込んだ。
「アンッ!!」
とっさに言葉を紡いだが、届かなかった。
「馬鹿野郎ッ!!!」
バンッと拳で俺に叱責を入れたのは親父じゃない。俺と本当の兄弟のように育ったサッチだった。
「なんであんなこと言ったんだッ!!!」
「…言い訳もねェよい。」
「あんな言葉を、あんな言葉を大事に思っている人に紡がれたアンちゃんの気持ちはどうなんだよ!!!」
「…何」
「まだ気付いてなかったのかッ!!!アンちゃんは、お前の「サッチ…よしな。」…イゾウ」
「今のお前さんには聞く資格はないぜ。そこらへんの女と同じだと言ったお前さんには…な」
「頭ァ冷やせよ。マルコ」
それ以上何かを言ってくる奴はいなかった。
「お前ら…似たもの同士だったんだな。」
エースが去り際に吐いた言葉はぐさりと心に刺さった。アンが消えた海はいつもの海に戻り、空も明るくなっていた。
俺は頭を冷やすため部屋に帰った。