【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第57章 大喧嘩
船は出航した。航海中あってはならない食糧難という危機も去り、順風満帆をしていたはずだった。
『だから、なんでそんなに怒ってんの!?』
「お前は本当に何度言っても聞かねェない!!警戒心を持てと言っているんだよい!!」
話は数分前に遡る。シャンクスと円満に別れる際に言ってしまった余計な一言…。
「おい、アンよい。さっきの話はどういう事だ?レイリーは聞いた、革命軍の小僧も聞いた…イゾウってのはどういう事だ??」
『いや、イゾウじゃなくて、ヒゾウだよ!』
「んなことはどうでもいいんだよい。問題は俺たちの知らねェところで事が起きてたって事だよい!!」
「グララララ…今度は何したんだァ?」
『何もしてない!!』
「してねェならこんなに怒らんでしょうが…」
『なんでそんなに怒ってるのわからない!!』
「わからねェ?本当に言ってんのかよい。それは。」
『レイリーやサボ、その他とキスをされただけでしょ?なんでそんなに怒られるのか分からない!!』
「は?」
「「「「うぇぇーーーーッ!!」」」」
マルコとの本気の睨み合い、お互いの体からは気持ちに左右され操れていない能力がちらほらと見え隠れしていた。
「何度同じことを言ったら分かるんだよい!!」
『だから、何をそんなに怒ってるの!?何がダメなのよ!』
「お前は本当に何度言っても聞かねェない!!警戒心を持てと言っているんだよい!!」
今現在ここだ。下の隊員の子たちはもちろん隊長たちですら口を挟まない。
『警戒、警戒って、見知った人間にどう警戒しろって言うのよ!!』
「見知ってるからって男なんだよい!!そもそも流されてるからそんなことになるんじゃねェのか!?」
『どういう意味よッ!!』
「そんな、男をとっかえひっかえしやがって…餓鬼が情婦の真似事なんてしてんじゃねェッ!!」
「マルコッ!!!」
「ッしまった…」
『私は情婦と一緒だって言いたいの…そう』
グラリと船が揺れた…空が雲に覆われていき、波どんどん高くなっている。
「いや、今のは…」
『いいよ…そう思ってたってことでしょう?情婦と一緒にされるなんて…。信じられない。大体、私にばっかりそんなに注意するけど…エースだって同じ歳だし。男だからって何、女の私は自由に生きる権利もないってこと?』
「お、落ち着けよい…アン。俺たちはお前のことを思って」