【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第56章 赤髪の縄張り
「この子が聞きよるゼハハハハと笑う黒い髭の男って、こないだ来たやり?」
「あぁ…来ましたね。かなり体が大きくて、そんな笑い方でしたね。」
『それっていつのこと!?』
「ん〜、確か2、3週間とか前だったかな?あの、ほら海軍の戦争があったあとですよ。」
「あれは、大変やったな〜」
戦争というのは、あの戦いのことを言っているんだろう。起こした張本人も止めに来た海賊団もここにいるんだけど。
『ありがとうございます。』
おばちゃんはそのまま奥のキッチンへ帰っていった。ユキさんもほかのお客さんに呼ばれたみたいでテーブルから離れていった。
「おい、アンどう言うことだ。マルコも…」
「なぜまだあの男を追っている。」
ベックとシャンクスは眉間にシワを寄せていた。
「…こらァ、俺たちの問題だよい。」
『…ごめん。』
「…そうか。別に口をだすわけじゃねェ。だから、そんな顔をすんな。」
シャンクスはポンと頭に手を置いてくれた。
「さわんなよい」
「おいおい、慰めてんだぜ?これは」
『喧嘩しないでよ。』
「お待たせ。ゆっくりしてきー」
おばちゃんは手羽先を山ほど積み上げたお皿を机に置いて、キッチンに戻っていった。
「食えよ!とりあえず、うまいからさ!」
笑顔で言うシャンクスにつられて、手羽先に手を出す。
『あ、マルコは食べないよね。共食いになるし。』
「あ、すまん!そこは考えてなかった。」
ガンッゴンッと大きな音が響いた。
『痛い…』
「いってェな…マルコ」
「ふざけたこと言ってるからだろい?」
そう言ってマルコは真っ先に手羽先を掴んで食べていた。
「ん! こりゃうまいよい!!」
『え、ほんと? 私も!!』
一口かじると、香り高くなんだろう香ばしい香り。
『これ、船に持って帰りたい!』
「あァ…おばちゃんに聞いてやるよ!」
そう言ってシャンクスは席を外した。
「で、本当のところ何をする気だ?」
ベックはフッと煙を吐き出した。
「落し前をつけるんだよい。これは船の総意だ。」
「また戦争ってか?」
『戦争じゃない…決着を付けるの』
「仲間を犠牲にしてか?」
『シャンクス…』
「また多くの仲間の命がなくなったとしてもすることなのか?」
『…ッ』
「今回、下の奴らには何も言ってないよい。強制するつもりもねェ。出るのは俺たちだけだ。」