【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第56章 赤髪の縄張り
『そ…ずれたら教えて…』
海流操作をこんな大がかりですることはあんまりなく、普段は自分が動く分だけなのであんまり感じてないが、今回ばかりは負担も大きく集中がいる。
「このスピード維持できるのか?」
『ん、問題ない…今は。』
“今は誰も近寄らないで”と下に呟くと近くにいる海王類たちが避けていく。
Side.Marco
かなりのスピードで進んでいくモビーと赤髪の船にがくぜんとしていると、エースがポツンと言葉を発した。
「あいつ…大丈夫か?」
「何がだよい。」
「あ、あァ…前にも言ったろ?アンの力は体力使うんだって…普段は自分の周りとか自分だけだろうからそんなに使わないみたいだけど…こんなでかい船を2隻だろ?」
それだけで十分理解できた。無理を必ずするんだろうなということも。
「俺はちょっと見てくるよい」
「おう!」
赤髪の甲板に降りると、赤髪のクルーたちが海王類がよって来ないことに疑問を持っていた。
「海王類が襲って来ないぜ?」
「アンの能力だよい」
「ほォ…ってなんでマルコがいんだよ!!」
「ちょっと様子見をねい」
確かにこんな会話をしてても入って来ないくらいに集中しているようで…それほど急ぐことか?
ズズッと引き込まれそうなくらいの能力に俺は少し身を引いてしまった。
「マルコ?どうした?」
「いや…」
「アン…少し左へズレている。」
『ん。』
聞こえてないわけではないのか…。
『何か言いたいことでもあるの?マルコ』
「…いや、ねェよい」
そのままずっと引っ張れていく船が2つ、近くに海軍の船を見つけたがこちらに気付いている様子はなかった。
「どうなってんだ?」
「まさか…アンよい。」
『ん?』
「お前、他にも能力使ってんのかい」
『まぁ…半径10キロ圏内に蜃気楼使って船の姿は隠してる』
「お前ない…そんな駆使しなくても俺たちは対処できるよい」
『自分の限界を試してみたいの…ダメ?』
そんな可愛い目で言っても…
「わかったよい…」
結局許しちまうんだよい、こいつには俺も甘いない。親父のこと言えねェな。
そんなことを思って数十分、俺たちは異例の速さで赤髪の縄張りの島【アンダーマウンテン島】についた。海底火山があるせいかやはり空気も暑い。
『ふぅ…よし!』
「お疲れさまだよい」