【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第55章 歳を重ねて…
「では、邪魔したな。これは連れて帰る。」
ベックはシャンクスの首根っこを掴み引きずっていった。
「お前らも隊長連れてけよい。」
「「「「ういーす!」」」」
「ちょっ!引っ張んなよ!!」
「早くきてください!!」
エースは腕を引っ張られていった。
「ちょっと待て待てベック!!」
「なんだ。」
「まだ渡してねェよ!!」
「は? お前、馬鹿なのか?もう終わってんだろ?」
「渡すタイミングがなかったんだよ!!」
ベックはシャンクスの首根っこをパッと離すとシャンクスのこちらは走ってきた。
「誕生日中に渡すつもりだったんだけどよ、忘れてたからな。今渡す」
“はい”と元気に渡される小さな箱…手のひらに乗るこのサイズ。
「開けてやる。」
渡したくせに奪われて、シャンクスは咳払いを一回して、片膝を付けて跪いた。
『え?』
「アン…。俺の嫁になってくれ」
そう言って開いた小さな箱には綺麗な装飾がしてある指輪が入れられていた。
『は?』
「俺は本気だって言っただろ? 受け取ってくれ」
箱を半ば強引に押し付けられて、手の上の箱を見つめる。そして、蓋を閉めると大きく振りかぶって海へ投げ捨てた。
「あァァァァァ!!!」
「ッよい!?」
『こんなのいらない。指輪は1番大切な人にもらうって決めてるから…』
シャンクスの方を見ると…放心してるかなと思いきや笑っていた。
『なんで笑ってるの…』
「プッ…あははははは!!!ベックの言ってた通りだったな!」
「あァ…というかあれ100万はするんだがな。」
『え、嘘!!勿体無い!!』
私は海力を操り、沈んでいった指輪を拾った。
「なんだ、貰ってくれるのか?」
『換金するに決まってるでしょ? 指輪はいらない』
「だーっはっはっはっは!!」
「アン…それは可哀想だよい。」
『だってお金…いるもん。』
「いいっていいって、もともと分かってたからな!」
「というわけだ。」
そう言って、ベックは別の小さな箱をくれた。
『これは?』
「最初から捨てられることが分かってたからな。別に買っておいたやつだ。」
中を開けた。そこには細長い何か。私にはあまり馴染みがなく何に使うものかがわからなかった。
『これ何?』
「お、簪だな。お前さん、ワの国でも行ったのかい?」
後ろから乗り出して教えてくれてのはイゾウだった。