【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第55章 歳を重ねて…
ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。うっすら目を開けると眩しいヒカリが差し込んでいた。
『ん…んー?』
「アン副隊長、起きてますか?」
『ちょっと待って…ふわぁ…』
扉をあけると、そこにはずっとなり続けている電伝虫を持った隊員。
『どうしたのー?』
「この電話の主が朝早くから何度もかけてきているのですが…エース隊長かアン副隊長を出せと。名前を聞いても答えなくて…じいちゃんと言えばわかると。」
『え…』
「ご存知ですか?」
『あぁ…わかった。ちょっと預かるね。』
電伝虫を持って、エースの部屋に入る。そして、エースが寝ている側に電伝虫を設置して、受話器を外した。
[あー、こちらじっちゃん、こちらじっちゃん!起きとるかー!]
「うわッ!!」
『プッ!!』
「なんだよ、アン…げ、これクソジジイじゃん」
『うん、だから持ってきたの』
「めんどくせェ」
[めんどくせェとはなんじゃ!!愛するじいちゃんから、愛する孫たちはバースデー電話じゃぞ!!]
「あー、はいはい。」
『ありがとう、おじいちゃん!』
[エースにはないが、アンにはプレゼントを買ったんでな、白ひげの船に送ったぞい。エースにはないがな!]
「なんで2回言うんだよ!!」
『エース、いちいち怒らない!』
[ふ、海軍もやらんと海賊になったお前なんぞにプレゼントなんて買ってやらん、いーだ!!]
電伝虫が忠実に顔まで再現するので、エースの額には青筋が浮かんできていた。
『抑えて抑えて…おじいちゃん!』
[なんじゃ?]
『私、ここにきて本当に良かった!生きてて良かったよ!』
[……そうか。]
『うん、だから、安心してね!』
[海賊なんぞになって時点で心配なんぞしてないわァ!!]
「うっせェジジイだな。」
『じゃ、また今度お土産持って会いに行くね』
[おぉ、待っとるからなー!]
そう言って電話切れた。
「いちいち持ってくんなよな〜」
『だって、起きないでしょ?』
「いいんだよ、今日はゆっくりしてても。」
『ふーん。じゃ、戻るね〜』
「おー。」
電伝虫を外に待っていた隊員に戻すと、部屋に戻った。がしかし、次は自分の持っている電伝虫がなっていたのだ。
『…多くないかな。電話。はい、もしもし』
[フッフッフッ…久しぶりだなァ。アンちゃん]
『ドフィ! どうしたの?』