【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第54章 無防備
『武装色硬化…』
攻撃してきた剣がカキンッと音を立てて、割れた。女女という言葉に私の中でプチンと何かの糸が切れた。
「なにィィ!?!」
『だいたいさ…女女ってどうして男はそう…女を下に見下すのかな。それって差別だよねー? 女だから、女なんだし、女だろ?、女ってやつは…。それしか言うことないわけ?』
「よい…」
「おい、マジギレしてんぞ。」
「どうすんだ?」
『本当良い迷惑なんだよね…女だってやるときゃやるし。そもそもあんたら、女がいなきゃ生まれてこなかったでしょッ!!水薙刀…武装色硬化。』
月歩を使い、魚人を1人ずつ、切っていく。
『女だからってなに? 女は強くなっちゃダメなの?』
「うるせェッッ!!!」
『うっさいのはどっちだ。』
Side.Ace
ザシュッと血が宙を舞う、たった数分だった。アンはいきなりブチギレて、周りにいた魚人を一掃した。
『女だからって言うけど…その女に負けたりゃ世話ないよね。あと、モビーを壊さないで!!』
アンが大きく手を持ち上げると、船の両側から海の水が上がってきた。
「嘘だろ!?」
「俺たちのこと見えてねェんだよい!」
「マルコ、エース、ジョズ!!!」
ザブンッと海水が甲板に流れ込む。俺たちは必死にモビーにしがみついた。
「ゲホゲホッ、ゲホッ!」
「力が…」
「大丈夫か? 能力者たち?」
そんな涼しい顔で言うサッチの少し髪の毛を焦がしておいた。周りを見渡すと魚人の姿はなく、きっと海に落ちて行ったのだろう。
「おい!!アン!!」
『…なに。』
「い、いや、その…なんだ」
ギロリと睨まれる目にいつもの優しさがないので、少し恐怖を覚えた。
「正常かよい?」
『どう言う意味?』
「アンちゃん、怖いよ?」
「俺でもあんなに怒らせたことねェ」
しばらく黙り込んでいたアンの雰囲気がスッと落ち着いた。
『…はぁ…鬱憤たまってた。悪いことしたかな〜』
「そ、そうかよい。」
『何、挙動不審になってんの?大丈夫?』
「お、いつものアンだ。」
“みんながよかった〜”と騒いでいた。“やっぱり、俺の妹はとんでもなく可愛がられてんだな〜”と思った。
「暴走すんなよ、アン」
『うっさい』
頭に乗せた手は払い退けられたが、嫌な顔はしてなかった。