【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第52章 愛と情熱とオモチャの国
2日目の朝はみんなボロボロとしていて、とてもしんどそうだった。今日は自由と言われていたが、まだ物資が集めきれていないところは優先がそっちになるので自由にはならないらしい。詰まるところ、1番隊としても残って確認する人がいると言うことだ。
「お前は遊びに行ってきていいんだよい?」
『いや…手伝うよ。』
「ん?」
『だって…ほぼ全隊ができてないよ!!ナースのお姉様たちはきっちりやってたのに、なんで!?』
「新しい島はみんな浮かれちまうからなぁ。」
『あんたの隊が1番できてないのよ!エースッ!!』
にこやかに言ってきたエースの両方の口の端を引っ張りつつ、注意をした。
「はっへよぉー、いひひひひ〔だってよ〜、いてててて〕」
『いい?これ以上遅れるなら、明日から船番…1人でしてもらうから。』
「怖ェ…い、いくぞ!!」
「「「「「お、おぉ!!!」」」」
半分脅し、なおかつ覇気を入れていうと、エースは自隊を連れて走って行った。
「よいよい。」
『マルコ…』
「なんだい?」
『眠い?』
「は?」
眠たげな目が少しだけ大きくなった。
「なんでそう思ったんだよい?」
『なんか、発言に覇気がないから。』
「まあ…眠いっちゃ眠いがねい…昨日はイゾウとハルタとどうやってシゴくかずっと考えてたからねぃ…」
ふわぁと大きな欠伸をしているのは珍しい。いつもの眠たげな目もかなり閉じてむしろ開いていないように感じる。
『…海水粘球…』
ヒョイと作った粘度の高い海の水をマルコの首にスッとつけると、力が急に抜けてびっくりしてるようだった。
「な、何したんだよい…」
『いや…ちょっとくらい寝てもらおうかな〜と思って…』
まだまだ帰ってきそうにないので、甲板にマルコを横にして膝枕をしてあげる。
「お、おいッ!!」
『いいよ、寝ても…私やっとくし。』
ペチョンと水のアイマスクを置くと、気持ちがいいのか反論の声は止んでスースーという息遣いが船に響いた。同じ要領で体を水に変えて、水枕を作ってやると身動ぎを少ししたが、起きることはなかった。
「グララララ…なんだァ、寝てやがるのか?」
『しーッ、長男様はお疲れなんだよ』
「グララララッ、お前はマルコに甘いなァ」
『そんなことないよッ!』
「嘘つけェ!!」
親父様のいつもの豪快な笑いも今日はとても静かで、優しい目でマルコを見ていたのだった。