【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第52章 愛と情熱とオモチャの国
「うわ。めっちゃ可愛い」
「見ろよ」
「あれ…」
親父様のマークを隠しているからか、街の人も警戒なく近づいてくる。
「お姉さん、どっかいくの?」
「俺とお茶しよう?」
「綺麗だね、今夜食事でもどうかな?」
「お姉さん…俺とデートしません?」
ちょっと待て…最後の声は聞いたことある。横をちらちら見て見るがいないということは後ろかと思って振り返ると特徴ともいえるリーゼント。そして大きく見開かれている目。
「うそっ!!?」
『買い物サボってナンパ? 怒られるよ?』
「アンちゃん!? めっちゃ可愛い子だと思ったら〜!」
『そ、ちょっと服買えたの。じゃ、船に戻るから』
「待って待って!俺も帰るからエスコートさせて!」
サッチも気づかないなんて私そんなに変わってるかな?
先々と歩いていると、だんだん見えてくるモビー2号の船。
「手、繋いでもいい?」
『え?』
「いいから!」
サッチは無理やり手を引いて、前を歩いた。途中ですれ違う隊員はサッチの女連れに目線を向けていた。
普段は飛び乗るだけなんだが、ヒールだろ?とサッチに気を使われて珍しくハッチから上がった。
甲板についた瞬間ザワッと空気がざわついた。
「ただいま〜」
「何してんだよいッ!!」
サッチに凄まじい蹴りが入り、吹っ飛ばされるのはいつものことだ。
「誰が女連れてこいって言ったんだよい!!」
「サッチ〜、珍しいな、べっぴんさんじゃないか!」
「だろー?」
「んなことは聞いちゃいねぇんだよい!!」
『なんでそんなに怒ってるの?』
「お前がいるから…だ、ろい…ん?」
声を出して意見するとみんながまた一斉にこちらを見る。
『何してんの?』
「あれ、アン帰ってきてたのか?」
『うん、おかえりエース』
ダンッとジャンプで甲板に上がってきたエースに挨拶をすると、奇声が上がった。
「「「「ぅぇぃいぇぇぇぉぇえ!?!」」」」
『なに、その悲鳴。』
「グララララッ!!アン…似合ってんぞォ?」
『ただいま、親父様! ありがとう』
帽子を取ると、みんながポカンと固まっている。
「なんなんだ?こいつら。」
『さぁ?』
「不覚だよい…アンだったなんてねい」
「全くだ、いつもその格好しとけよ」
「そーだ!!」
『絶対やだ。』
「エースは何ですぐわかったんだよい?」
「匂い」