【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第3章 2年を経て...
「そこら辺座ってね」
『あ、はい。』
「で…聞きたいことなんだけど。」
『はい…』
「アンちゃんさ、何してたの?」
『えっ?』
「今日、天竜人が小舟を撃ったあと、俺の後ろで何してたの?」
『…ッ何もしてません』
“ふーん”とじりじり青キジさんは詰め寄ってきた。
「俺にその嘘が通じると思ってる??」
空気がひんやりとしていく。これは…青キジさんの能力だ。
「で、本当のこと言ってくれないと固めちゃうよ」
ひんやりとした手で私に触れる。
「君、能力者だよね。この間部屋を綺麗にしたのといい、今日のあの集中力と覇気…何の実を食べたのかな」
『あ…いや…あの…』
「話した方が楽でしょ…言っちゃえ」
『はぁ…他言しないと約束してください』
「それはものによるよね…」
『いえ、約束してくれないと話しません』
「君ね~」
『約束してくれるんですか?』
「……わかった。ちゃんと嘘なく話してよ」
『もちろんです。 私が食べたのは……』
Side.Kuzan
あれからどれだけ時間が経っただろう。アンちゃんが話していった内容はあまりに衝撃過ぎて、時間が過ぎるのも忘れていた。
「まさか、こんなに近くにいるなんて思わなかったよ。ミズミズの実の能力者…大海の天使がね…」
正直、ここまでよくばれなかったものだ。
ー私は人間兵器になるつもりはありません。
彼女はあの幼い姿ですべてを考え察している…確かにこのことが元帥や、赤犬に知られてしまえばきっと彼女の言うとおり"人間兵器"になってしまうんだろう。
「考えるの苦手なんだけどなァ、俺」
ベッドに寝転びながら自慢のアイマスクを下げたとき、空はもう白んできていた。
まさか、青キジさんにばれているなんて思わなかった。あのとき、話さなかったら私はきっと犯罪者になって、氷になっていたかもしれない…。
『でも話したのは少し早まったかもしれない…』
おじいちゃんに怒られたらどうしよう…そっちのが怖い…。
数日後には本部に帰還した私は、再び青キジさんと書類の山を切り崩していくのだった。もちろん、約束通り青キジさんは誰にも話していないようでいつもと何ら変わりない生活を迎えていった。