第2章 出会い
『えっと、お邪魔します』
アジトという割には綺麗な部屋に驚きながらそっと中に入る。
シンプルなテーブルにソファ、カウンターにはいくつかの酒瓶が置いてあった。
玄関のドアの横には箒が三本かけられ、雑巾もいくつか畳まれて置かれていた。
『この綺麗さちょっとビビった?』
後ろからイザベルに押されて前に進むと、
『おい、テメェら先に手を洗え』
『はい?』
『リサ、お前もだ』
何を言われたのか把握する前に洗面所に案内された。
ここもやっぱり綺麗。。しかも石鹸もある!
水回りを見て、そんな風に思いながら手を洗う。
不衛生な所が多い地下街に石鹸という貴重なものがある事にも驚いた。
『あ!タオル用意するの忘れてた!』
『チッ、タオルぐらい毎回かけておけ。リサに渡してやれ』
あはは~とファーランは隣の部屋から綺麗なタオルを持ち出し洗面所に駆け寄る。
『あ、お先に洗わせてもらいました!』
ファーランが開ける前にリサがドアを開ける。
ポケットに入れていた、よく分からない植物の刺繍がしてあるハンカチで手を拭く。
形見だけど、ハンカチとしての役割を果たさないでいるとおばあちゃんに注意されそうだから、ボロボロにならない程度には使用していた。
だけど、ハンカチは真っ白で触り心地はよかった。
『ほう。そんな物持っているとは、、悪くない。いい心掛けだ』
ハンカチを見て意外だとリヴァイは少し目を見開く。
『同じ女なんだからお前も見習えよな』
『うっせ!俺は女じゃねぇ!』
ワシワシとファーランがイザベルの頭を撫でる。
そんなファーランの手を払いのけながら、二人も手を洗いに行った。
『イザベル、石鹸で洗えよ』
兄貴もかよ!分かってるー!とドアの向こう側からイザベルが叫ぶ。
『ふふっ』
そんな三人のやり取りが面白くてリサは笑った。