第14章 交わらない思い
リサとファーランは並んで歩いていた。
ファーランの足取りは重く、逆にリサは久しぶりにファーランと会えて嬉しく楽しそうに会話をする。
『リサ、俺達と会ってない間ずっと何してたの?掃除とか?裁縫?』
歩きながらジッとリサを見下ろす。
『…もちろんです。あとね、筋トレしてました!』
『え?…筋トレ?』
『立体機動装置を暫く出来てないので、筋トレだけでもしていつでも飛べるように準備してました!』
リサは袖を捲り細い腕を出して、見てください!と力こぶを見せる。
筋肉があるのかないのか分からない腕にファーランは少し笑いを堪えながら、ホントだねと力こぶをつついた。
『そっか~そんなにリサは立体機動装置がお気に入りなんだなぁ…』
『はい!鳥のように自由で楽しいですね!』
手を横に広げて羽のマネをする。
『よし!今すぐってわけにはいかないけど、リサの分の立体機動装置を手配してみるよ』
『え…でも、中々手に入らないんですよね?しかも高価と聞きました…。私、そんなお金ありませんよ?』
『お金の心配はしなくていいよ。リサが作ってくれた蒸しパン美味かったからまた作ってよ!リヴァイが作る料理もいいけど、やっぱ可愛い女の子が作ってくれるものは違うからね』
ファーランはウインクをして、リサの頭を撫でる。リサはいくらでも作ります!と笑顔になった。
可愛い女の子ってのも事実だが、ファーランは自分の好きな女の子には良くしてあげたいという気持ちの方が強かった。
『そうとなれば益々筋トレ頑張らないとですね!』
『ははっ。リサは今のままでも自在に飛べてるんだから程々でいいよ』
え~と少し不満そうに口を膨らませるとファーランはまた、ははっと笑う。
『…リサさぁ、俺が聞いていいのか分からないけど何でリヴァイに会いたいの?』
ファーランはリヴァイからほぼ聞いていたから事情は知っている。
さっきまでニコニコしていたリサからは笑顔が消えていた。
『…リヴァイさんに私、酷い態度とってしまいました。会いたくないって言ってしまいました…』
『リサ…そんなにもリヴァイに会いたいのか』
『そ、そうですね』