第13章 覚悟
『どうしよう…私、リヴァイさんに酷い態度だったかも…』
歩いて自宅から戻り玄関に入るなり、ドアにもたれズルズルとしゃがむ。
『リヴァイさん、別に本当のこと言っただけなのに…』
―――――お前の男じゃねぇ
『本当の…こと…かぁ。私、何で泣いてるんだろ。これじゃ、リヴァイさんに抱いて欲しくて仕方がない女じゃない…』
大きな大きなため息をつき、リサはベッドに倒れ込む。
『リヴァイさん、もう会えない気がする…。でも、ヤるだけヤッてポイされるよりはいいかな。そういう男性じゃないの知ってるし、誠実な人だもん』
仰向けになり、天井を見ると視界が滲む。
涙が次から次へと流れ枕を濡らした。
ドンドン…
『…いつの間にか寝てたのね。誰か…来た?……あぁ…そっか…』
瞼が重いまま時計確認する。
のそりと起き上がると玄関まで歩く。
―――リヴァイさんは、私がノックの度に怯えてたの気づいていた。だからいつも安心させる為に名乗ってくれていた。
―――きっと私を心配してくれてた。あの時聞いてきたイザベルもきっと同じだと思う。
『……はい』
こちらが開けるまで黙っているドアの向こうにいる人に声をかける。軽くため息をつくとリサはドアを隙間並に開けると、手が入り込み勢いよく開けられる。
『おい、さっさと開けろ!…は?お前目が腫れてるじゃねぇか?!』
『すみません…』
『化粧道具渡してんだから何とかしろ!時間がねぇから、急ぎやがれ!』
バタン!!と大きく閉められ、リサはまた1人の空間になる。
リサは後ろを振り返り、ベッドの下から箱を取りだし蓋を開ける。
『自分で望んで始まったことだから…責任は取らなくちゃ』
細い肩紐、背中がレース状になっていて腰の辺からスリットが入っている黒のドレスを取り出した。
箱の底には赤いハイヒールが入っている。
『そうだった…。リヴァイさんに相手してもらうには程遠かったわ』
服を脱ぎ捨て、そのドレスを身に纏う。
引き出しから隠していたワイン色のリップを塗る。
腫れた瞼を隠す為に、オレンジゴールドのアイシャドウを乗せる。
『…これは誰?』
鏡を見て問う。
『あぁ、これも私…ね』